著者
古川 康一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.710, pp.33-40, 2002-03-07
参考文献数
12

人間は訓練によって,楽器演奏,スポーツなどの身体動作に関わる技や,囲碁,将棋などの頭脳ゲーム,高度な専門知識,あるいは,もっと一般的に単に言葉を話すなどの技能を身につけることができる.しかし,それらの技能については,その仕組みを言葉で表すことができない.そのため,これらの技能に関わる知を暗黙知と呼んでいる.暗黙知は,元々,言語化が困難であるので,その言語化を目指すのは無謀と思われるかも知れないが,我々は,暗黙知の言語化が高度な機械学習の1つである帰納論理プログラミングによって可能であると考え,幾つかの問題を取り上げて,実証を試みた.その一つは,「電子メールの分類ルールの自動抽出」であるが,これは元々エキスパートシステムの領域において知識獲得の問題として取り上げられていたものである.従来,そのような知識獲得は専門家に対するインタビューを通して獲得されていたが,それを最新の機械学習の考え方で実現するものである.また,身体的な技能の例として,チェロの演奏での技巧の解明を取り上げた.そこでは,筋電図,呼吸センサ,およびモーションキャプチャリングシステムにより技巧的動作を測定し,その技術の秘密の解明に迫った.また,思考に関連する例として,幼児の言語獲得のモデル化の実現を図った.これらの実験を通して,帰納論理プログラミングによる暗黙知の言語化の可能性を明らかにした.

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(メモ)言語化が難しい暗黙知を機械学習で言語化させる? しかし、言語化とは形式知への変換ではないのか? 後で読む。 https://t.co/Aw1S5MxWg8

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