著者
河西 秀夫
出版者
一般社団法人日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.84-92, 1994-08-10
参考文献数
12
被引用文献数
1

15〜25KHzの周波数(VLF帯)の電磁波を用いて地表の電磁場応答を測定する電磁波探査がVLF-MT(Very Low Frequency-Magneto Telluric)法である。 Magneto Telluricは地磁気地電流法と訳されている。VLF帯の電磁波として米軍の送信所から発信される対潜水艦用の通信電波が使用されている。VLF-MT法では水平磁場強度とそれに直交する水平電場強度が測定され、これらの値から次式で見かけ比抵抗と位相角が求まる^1)。ρ_2=0.2T(E/H)^2(1)φ=arg(E/H)(2)ρ_2:見かけ比抵抗値(Ωm)φ:位相角(^)T:周期(秒)E:電場強度(mV/km)H:磁場強度(nT)地中に入射した電磁波の強度が1/e(eは自然対数の底)に減衰する深度を表皮深度δというが、この表皮深度をほぼ探査深度と見なすことができる。比抵抗ρの均質大地の表皮深度は次の式で求まる^2)。δ=500√<p/f>(3)ρ:比抵抗値(Ωm)f:測定周波数(Hz)比抵抗値として見かけ比抵抗値を使用して計算するが、見かけ比抵抗値が500Ωmの場合は表皮深度は35m、1000Ωmの場合は120mである。このようにVLF-MT法は探査深度が浅いが、装置が小型で軽量なことや短時間で測定ができることから、露頭が少ない火山地域の浅都の地質構造を推定する手段として有効であると思われる。筆者は先に富士山北麓の地域(山梨県鳴沢村)のテフラ堆積地帯でVLF-MT法を用いて浅都の地質構造を推定し、その有効性を報告した^3)。この報告では地盤は2層構造であるという仮定下で測定データの数値解析を行なったが、既存のボーリング資料の対比から、400Ωm以下の比抵抗層を火山砂礫層、401〜800Ωmの比抵抗層を凝灰角礫層、1200Ωm以上の比抵抗層は溶岩流と凝灰角礫層の互層、2000〜5000Ωmの比抵抗層を溶岩流であると推定した。また、地質構造の解析に当って、あらかじめ踏査やボーリング資料等の既存資料を使用してできる限り地質構造を検討しておく必要があることを指摘した。今回、前回の方法の有効性をさらに確認するために、富士山北麓地域と両様に富士山の噴出物が厚く堆積している富士山北西麓地域(山梨県富士吉田市)でVLF-MT法を用いて浅都の地質構造の調査を行い、2層構造の仮定下で測定データの数値解析を行った。また、VLF-MT調査とともに地質踏査を行い、解析を行うために必要な地質構造の把握を行った。本文では解析結果を報告するとともに、幾つかの問題点を検討する。

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こんな論文どうですか? VLF-MT法による火山地域の地質構造探査 (2) : 富士山北西麓を例にして(河西 秀夫),1994 http://t.co/YN16kEBglj
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