- 著者
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岩崎 拓
- 出版者
- 日本昆虫学会
- 雑誌
- 昆蟲. ニューシリーズ (ISSN:13438794)
- 巻号頁・発行日
- vol.3, no.2, pp.65-70, 2000-06-25
- 参考文献数
- 5
- 被引用文献数
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1
1990年から1998年にかけて大阪府南部と和歌山県北部の数カ所の草地で, オオカマキリTenodera aridifoliaとチョウセンカマキリT. angustipennisの越冬卵嚢を採集し, オナガアシブトコバチPodagrion nipponicumの越冬世代成虫の羽化を毎日記録した.羽化がみられたのはオオカマキリの卵嚢のみからで, その期間は4月上旬から5月上旬にかけてであった.このコバチの羽化は, ほとんどの卵嚢において, オオカマキリのふ化よりも早かった.1卵嚢あたりの羽化数は1から55で, 平均は11.5個体であった.総個体数の比(オス : メス)は, 74 : 272であった.越冬世代成虫を準自然条件下で飼育した結果, すべての個体が7月中旬までに死亡し, カマキリの卵嚢が産まれる秋まで生存した個体はいなかった.