著者
日本海洋学会海洋環境問題委員会
出版者
日本海洋学会
雑誌
海の研究 (ISSN:09168362)
巻号頁・発行日
vol.14, no.5, pp.601-606, 2005-09-05
被引用文献数
1

2001年, 日本政府は都市再生プロジェクト(第二次決定)において, 東京国際空港(以下, 羽田空港)の再拡張事業を選定し, 「国際化を視野に入れつつ羽田空港の再拡張に早急に着手し4本目の滑走路を整備する」方針を固め, 2002年6月, 「羽田空港を再拡張し, 2000年代後半までに国際定期便の就航を図る」ことを閣議決定した。4本目の新滑走路の位置を確定した国土交通省は, 2009年の完成を目指している。工期には約3年を要すため, 2006年春には着工の予定である。本事業の環境影響評価に関しては, 2004年11月28日に1か月間の環境影響評価方法書(以下, 方法書)の縦覧期間が終了し, 国土交通省は2006年の事業着工にむけ, 影響評価準備書(以下, 準備書)の作成段階に入っている。この事業計画は(図1), 羽田空港沖から多摩川河口域にかけて, 埋立と桟橋のハイブリッド構造の滑走路を建設するものである(図2)。こうした構造物の建設は, 東京湾の水域生態系に少なからぬ影響を与えることが考えられる。したがって, その環境への影響は時間をかけて慎重に論議され調査されなければならない。このことに照らせば, 方法書から準備書作成までの期間は, 環境影響評価を行うにはあまりにも短いように思われる。方法書に対する意見の提出期限(2004年12月13日)はすでに過ぎたが, 長年にわたり海洋の環境を調査・研究してきている日本海洋学会海洋環境問題委員会としては, 本事業の環境影響を最小限に止めることを切望し, 羽田空港再拡張事業における環境影響評価のあり方について特に見解を表明する次第である。

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