著者
黒田 治之 千葉 和彦
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.91-99, 2006-01-15
被引用文献数
3

無剪定状態で管理した樹齢11〜13年生のわい性および半わい性台木を利用したリンゴ'スターキング・デリシャス'樹を用いて, 根の成長に及ぼす栽植密度の影響について検討した.330樹/ha区の根系は太い側根と下垂根で構成されていたが, 3178樹/ha区では主に側根であった.根系幅は栽植密度の増加に伴って減少したが, 隣接樹の根系における交差深度は増加した.3178樹/ha区では隣接樹の根系間で根組織の癒着現象が観察された.根系幅/樹冠幅比は栽植密度の増加に伴って減少し, 根系幅の方が樹冠幅より密度効果を受けやすいことが示された.根重の垂直分布比率は栽植密度による影響が認められなかったが, 1樹当たり根重は各層とも栽植密度の増加に伴って減少し, その減少は0〜30cm層の大根で著しかった.1樹当たり根重(R)は各台木樹とも, 栽植密度(ρ)の増加に伴って減少した.Rとρの関係は, 次の逆数式によって表された.1/R=A_<Rρ>+B_R (1)ただし, A_RとB_Rは樹齢や台木によって変化する係数.幹断面積(θ)と1樹当たり根重(R)の関係は各台木樹とも, h>1である次の相対成長式で表された.R=Hθ^h (3)ただし, Hは台木によって変化する係数.1 ha当たり根重は1樹当たり根重と異なり, 各層とも栽植密度の増加に伴って増加し, その増加は小・細根で顕著であった.1 ha当たり根重(R^^-)は各台木樹とも, 栽植密度(ρ)の増加に伴って増加した.R^^-とρの関係は, 式(3)のR=Hθ^h, 式(4)の1/θ=Aρ+Bおよび式(5)のR^^-=Rρから導かれる式(6)によく当てはまった.R^^-を最大にする栽植密度(ρR^^-_<pk>)は式(7)で与えられる.R^^-=Hρ/(Aρ+B)^h (6)ρR^^-_<pk>=B/A(h-1) (7)ただし, AとBは樹齢や台木によって変化する係数.以上の結果から, 1 ha当たり根重は栽植密度の増加に伴って増加するが, ρR^^-_<pk>において減少に転じることが示された.

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こんな論文どうですか? わい性および半わい性台木を利用したリンゴ'スターキング・デリシャス'樹の根成長に及ぼす栽植密度の影響(黒田 治之ほか),2006 http://id.CiNii.jp/OlTUL
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こんな論文どうですか? わい性および半わい性台木を利用したリンゴ'スターキング・デリシャス'樹の根成長に及ぼす栽植密度の影響,2006 http://ci.nii.ac.jp/naid/110003480018

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