- 著者
-
土井 秀和
- 出版者
- 大阪教育大学
- 雑誌
- 大阪教育大学紀要 (0xF9C4)教育科学 04 教育科学 (ISSN:03893472)
- 巻号頁・発行日
- vol.41, no.1, pp.p69-82, 1992-09
この研究は,これまでのボールゲームのトレーニングに関わる問題点を客観的に洗い出すと共に,ボールゲームの発展方向を国際的な視野に立って探る中で,これからのトレーニングの効果的あり方・方法を追求したものである。研究の方法は世界で最もスポーツ運動学研究及びボールゲーム研究が進んでいるとみられるドイツ(また,競技成績の面でも常にトップ水準を維持し,世界をリードしている)圏の文献を中心に分析・検討を加えると共に,筆者のハンドボール日本女子ナショナルチームのコーチとしての実際的収集情報資料等の客観的検証・活用などに依拠している。その結果を総括的に言うと,これまでのボールゲームのトレーニングはゲーム能力として統合される全体に有機的に連動するトレーニングのあり方を十分に認識させる事なくゲーム能力の各構成要素となる体力,技術,戦術を分けて捉え,独立した領域として扱ってきたが,これからは,統合された有機的全体としてのゲーム能力を効果的に習熟することが不可欠であり,そのためには,身体的な負荷のもとで,技術練習を統合した戦術練習が総合的なゲーム能力の練習と平行して行われなければならないということが強調できる。このようなトレーニングの改革と適用に依って,国際的に長く低迷しているわが国のボールゲームの競技水準の向上の第一ステップは確実に始まると考えられるわけである。