著者
三村 寛一 清水 一二三 吉田 智美 塩野 祐也 檀上 弘晃 上田 真也
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. IV, 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.45-52, 2006-02-28

本研究は,K市在住の河内音頭愛好家である女性51名を対象に,河内音頭が中高年女性の身体にどのような影響を及ぼすかについて検討することを目的とした。その結果,河内音頭中の心拍数および運動強度は,中程度のレベルでほぼ一定であった。また,年齢と体脂肪率が上がるに伴い心拍数および運動強度は低い値を示した。以上の結果より,河内音頭は運動者の特性に応じた運動強度で運動ができ,その運動強度から中高齢者にとって安全な運動であり,健康づくりの運動プログラムとして効果的な運動であることが示唆された。
著者
金光 靖樹
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. IV, 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.357-368, 1999-01

本稿では,個性と自己中心性の関係という本来,難物であるはずの主題を分析する手始めとして,まず,個性,自己中心性というそれぞれの言葉のベーシックな意味の確認を行ない,次いで,両者の共通の前提である「自分」という概念について問い直し,そして,そこからこの「ジコチュウ」という若者たちの奇妙な日常語の解釈,ひいてはそれを生み出す精神状況について若干の考察を試み,今後の検討の緒としたい。This paper attempts to find a clue by which we solve a difficult problem between individuality and selfcenteredness. First, basic meaning of the two words, individuality and selfcenteredness is confirmed. Second, a notion "I"-a commonbase of the two words-is analyzed. Third, by using such analyses, an interpretation of a curios word "jikochu", which the young in present-day Japan uses daily, is given and spiritual conditions which bears the word are examined. Results of these investigation will be a clue to a series of studies of individuality and selfcenteredness.
著者
佐藤 慶明 入口 豊 西島 吉典
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. 第4部門, 教育科学 = Memoirs of Osaka Kyoiku University (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.45-54, 2014-09

1993年に10クラブからスタートしたプロサッカー・JリーグもJ1・J2を合わせて40クラブに増加し,現在はJ3リーグ結成が計画されるまでに発展した。Jリーグの誕生が,日本選手のレベルを格段に引き上げ,日本代表チームの4大会連続のワールドカップ出場と世界ランキング上位に躍進させる原動力となったことは疑う余地がない。しかし,順調に発展してきたかに見えるJリーグ・クラブ各チームにおいては,個別には経営上の様々な問題を抱えていることも事実であり,それらの問題の克服なくして今後の大きな飛躍を望むことは困難な情勢にある。本研究は,Jリーグ所属全チームの中でも親会社を持つクラブの順位浮上のためのマネジメント上の問題点を,J1・J2各1チームのクラブ経営のトップであった元社長,GMへのヒアリングを中心に事例的に明らかにすることを目的とする.特に本稿では,JFLからJ2昇格後に3年連続最下位を経験して,2011年にJ1昇格圏内にまで成績を上げるも,四国という地域性とチーム運営面や観客動員数にも課題を残す「徳島ヴォルティス」の事例を中心に取り上げる。The purpose of this study is to make the actual conditions of management of a professional football club in Japan (J-league) clear through having an interview with the general manager of the J1-league and the J2-league clubs. This is the continued study from the previous report with the same title :"A Case Study of Management of a Professional Football Club in Japan(I)-focus on a case of the Urawa Red Diamonds (J1)-"(Memoirs of Osaka Kyoiku University, Ser.IV., Vol.62-2.2014.2., pp.11-22.) Especially, the present study is to examine the actual conditions of management of the "Tokushima Vortis "(J2) through having an interview with the former president of the Tokushima Vortis". The finding and discussions on the following topics are presented in this paper: 1.An outline of the Tokushima Vortis (J2) 2.Contents of an interview with the former president of the Tokushima Vortis (1)about a management of the president (2)the relationship among the front, the staff, and the players (3)the duties of the president (4)the present state and the future of the general manager and the president of the J-league team.
著者
小川 好美 朝井 均
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. IV, 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.1-20, 2006-09-29
被引用文献数
1

性教育を施行する場合,どの時期に誰が実施すべきかなど,いつも議論の絶えないところであるが,最近は「行き過ぎた性教育」などがマスメディアに取り上げられ話題になるといった状況もある。ところで,ドイツの性教育に関する教材などを日本でも見かけることがあるが,文化的背景等の異なるところで作られたものであるということも注意しておかなければならない。本研究は,日独の性教育に関する比較検討を行うことにより,日本の性教育を客観視し,長所の再発見や応用の可能性を探ることなどを目的にしたものである。日独の青少年の性交状況を比較すると性交率はドイツのほうが高かったが性交経験率の推移はどちらも上がりつつある傾向が見られた。性に関して日本では友人の影響が強いのに対し,ドイツでは親の存在感が強かった。家庭内において性教育若しくは身体発育や性に関する話をすることがあるとしても,その内容が異なるのではないかということが考えられた。ドイツではBundeszentrale fur gesundheitliche Aufklarung(連邦教育センター)から性教育に関する多種類のパンフレットなどが発行されており,具体的な性行動などについても書かれているが,愛情や様々な心情から取扱い,身体に関する基本的な知識など多面的に盛り込まれ,また読みやすいように工夫されているものであった。一方,わが国ではそのような種類の刊行物は皆無に等しいといわざるを得ない。文化的背景,歴史,教育システム,学校と家庭の関係などが異なるので,日本とドイツの学校での性教育を単純に比較することは大変難しいが,その中で日本の性教育を考える上での参考になる点は,学校と家庭での性教育の関係,保護者と子どものコミュニケーションとその信頼関係であり,愛情や人とのつながりを考えさせ,正しい情報をわかりやすく伝えるための資料や手段などが重要であろうと考えられた。
著者
藤田 裕司
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 第4部門 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.145-158, 2008-02

表題の著書について,その構成と展開を示した後,その主題を,「上昇と下降」,「魂と肉体」,「知性と感情」,「我と没我」といった観点から考察し,最終的にそれが(A↔Ā)=Aの世界に収まることを明らかにして,その意義を論じた。This paper aimed at clarifying the theme of"Flowers for Algernon"written by Daniel Keyes. After an outline of the novel was given, the theme was examined from such viewpoints as`ascent vs. descent',`spirit vs. body',`intellect vs. emotion'and`ego vs. effaced ego'. As a result, the theme came into a world of"(A↔Ā)=A", and the meaning of it was explained.
著者
白井 利明 山田 剛
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. IV, 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.13-27, 1999-08
被引用文献数
1

現代青年の「インタラクティブ・ツール」と生活意識の関連を検討するために,大学と専門学校の学生で女性384人に対して質問紙調査を実施した。その結果,第1に,ポケベルや携帯電話は,電車内や友人との会話中が授業中よりも寛容になるという場面差がみられた。また,自分のものが鳴った場合は,使用者や関心のある者が関心のない者よりも寛容だったが,他人のものが鳴った場合にはそのような違いはみられなかった。第2に,「インタラクティブ・ツール」への関心は親密さ・回避(自分が傷つきたくない)・多忙感・空虚感とプラスの方向に関係したが,ボランティアを中心とする関心は別の次元であり,しかも空虚感との関連の方向がマイナスであった。The purpose of this study was to clarify how contemporary female adolescents may commit on the "interactive tools" such as "Tamagocchi", "Puri-Kura", beepers, portable telephones, personal computer communications, body touching and volunteers, by examining the relationships between the commitment on them and life feelings. Three hundred eighty four samples answered a questionnaire in 1997. Findings showed that firstly, they felt free to use or hear beepers and portable telephones more in a train and during talking with friends than during a lesson at school. At the same time, those who used or were interested in them did so more than others only in the case of their calling but there was no statistically significant difference in the case of other people to use. Secondly, commitments on interactive tools related to needs to intimacy, narcissism, pressure of business and low self-fullness but another dimension particular to volunteers showed high self-fullness.
著者
内藤 翔平 入口 豊 井上 功一 中野 尊志 大西 史晃
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. 第4部門, 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.11-24, 2013-02

本研究は,サッカー発祥の地であり,世界最高峰のプレミアリーグを有するイングランドの地域サッカークラブにおけるユース育成の実情を検証するため,内藤がスタッフとして所属したセミプロリーグレベルのクラブ(5部リーグ)「AFCウィンブルドン」に焦点を当て,そのクラブがどのように誕生し,地域に根付いてきたのか,また実際の運営はどのように行われているのかを明らかにし,特にそのユースチームの指導体制や運営実態を筆者自身の体験を交えながら明らかにすることによって,イングランドのサッカークラブにおけるユース育成の内情を実証的に検証することを目的とする。特に,本稿ではイングランドの全体的なサッカー構造を明らかにするために,関連する文献やサイトから,リーグ,カップ戦,サッカークラブ,ユース育成システムなどの概要を明らかにし,長い年月をかけて構築されてきた組織の全容を明らかにする。The purpose of this study is to make the actual conditions of the Youth Training System of Football Club in England clear through the experience of the AFC Wimbledon in Wimbledon. Especially, before examining the case study of the AFC Wimbledon, the present study is to examine an outline of youth football training system in England. The finding and discussions on the following topics are presented in this paper: 1. The Structure of the Football League in England (1) An Overview of the Football League in England (2) About the Lower Football League 2. The Youth Training System in England (1) A History of the Youth Training System (2) The Standard of the Football Academy
著者
内藤 翔平 入口 豊 井上 功一 中野 尊志 大西 史晃
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. 第4部門, 教育科学 = Memoirs of Osaka Kyoiku University (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.31-42, 2013-09

本研究は,サッカー発祥の地であり,世界最高峰のプレミアリーグを有するイングランドの地域サッカークラブにおけるユース育成の実情を検証するため,筆者(内藤)自身がスタッフとして所属したセミプロリーグレベルのクラブ(5部リーグ)「AFCウィンブルドン」に焦点を当て,そのクラブがどのように誕生し,地域に根付いてきたのか,また実際の運営はどのように行われているのかを明らかにし,特にそのユースチームの指導体制や運営実態を筆者(内藤)自身の体験を交えながら明らかにすることによって,イングランドのサッカークラブにおけるユース育成の内情を実証的に検証することを目的とする研究の第II報である。特に,本稿ではイングランド・セミプロリーグレベルのクラブ(5部リーグ)「AFCウィンブルドン」に焦点を当て,そのクラブがどのように誕生し,地域に根付いてきたのか,また実際の運営はどのように行われているのかを明らかにする。The purpose of this study is to make the actual conditions of the Youth Training System of Football Club in England clear through the experience of the AFC Wimbledon in Wimbledon, England. This is the continued study from the previous reports with the same title "A Case Study of the Youth Training System of Football Club in England (I)- An Outline of the Youth Training System in England -" (Memoirs of Osaka Kyoiku University, Ser IV. Vol.61-2., 2013.2., pp.11-24.). Especially, the purpose of the present study is to examine the following topics about the "AFC Wimbledon Football Club". The finding and discussions on the following topics are presented in this paper: 1.The Wimbledon FC (1)History of the Wimbledon FC(2)wining of the championship of FA Cup 2.Two Wimbledon FC "MK Dons" and "AFC Wimbledon" 3.About the first team of AFC Wimbledon
著者
松尾 邦枝 太田 順康 千住 真智子
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. 第4部門, 教育科学 = Memoirs of Osaka Kyoiku University (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.69-80, 2015-09

本研究では,2014年2月21日~3月13日の日程で,ヘルシンキにおいてフィンランドのスポーツ振興の実態を調査し,福祉先進国と呼ばれているフィンランドの健康の取り組みについて明らかにするとともに,運動しやすい環境の整備状況について調査を行うことで,日本人の運動習慣の向上や健康づくりに関する知見を得ることを目的とした。フィンランドは,定期的にスポーツを実施している者(週1回以上)が国民の91%と世界一の生涯スポーツ先進国である(山口:2007)。フィンランドは,かつて欧米同様に生活習慣病が増大していたが,医療費削減のためにスポーツ促進を掲げた福祉向上政策を行った結果,スポーツ振興や施設の改良や拡大がおこなわれ,自国の歴史の中で培われた気質のあとおしもありスポーツが浸透し,スポーツ実施率は世界一となった。現在,スポーツ実施率が47.5%(2012年度)といわれている日本も今後,利用しやすい総合型地域スポーツクラブの拡大や,ウォーキング等を実施しやすい道路,公園の整備,体育館の利用方法の簡素化等の対策を進めることで運動・スポーツのさらなる促進につながると考えられる。This is a survey on the sports situation in Finland from 21st February to 13th March in 2014. The first purpose of this research is to learn the health policy of Finland, known as a country with one of the most highly advanced welfare systems. The second is to give some implication to the improvement of the exercise habits of the Japanese by learning the maintenance of the Finnish sports environment. Finland is also one of the lifelong sports countries over 90% of the population of which are regularly doing a certain sport, at least once a week (Yamaguchi 2007). In Finland, life-related disease used to be as popular as it is in America, but some welfare improvement implements were put into practice for the purpose of a reduction of its national medical expense. It brought a sport promotion and an expansion and improvement of facilities, backed up mutually by its own historical and cultural background. Thus sports habits spread throughout people and now Finland has the largest number of people doing sports. In Japan the ratio is still estimated to be around 47.5% (in 2012), but in the near future there will be an improvement of exercise and sports situation with more easy-accessible general sport clubs, maintained walking roads and parks, and with more simple procedure to use public facilities.
著者
輪田 真理 入口 豊 井上 功一 山科 花恵 東明 有美
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 第IV部門 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.15-28, 2012-02-29

本研究は,現在なでしこリーグの中でもトップクラスの環境を持ち,日本代表選手を多く輩出しているJリーグ所属浦和レッドダイヤモンズの下部組織である「浦和レッドダイヤモンズレディース」と,ぎりぎりのクラブ運営の中でもなでしこリーグ残留を続け,日本女子サッカーリーグでは最も歴史のある市民クラブ「伊賀フットボールクラブくノ一」(筆者所属)の事例を中心に,日本女子サッカーリーグ所属クラブの現状を明らかにし,それらから見ることのできる課題を検討することで,日本女子サッカーリーグ所属クラブの展望を考察することを目的とするものである。本稿では,まず,その前提となる日本女子サッカーリーグ(なでしこリーグ)の歴史と現状を明らかにした。Japan national women's football team won the World Cup of Women's Football in 2011.7. After then Women's Football is rapidly gaining popularity in Japan. However, an environment of women's football in Japan is not favorable. The purpose of this study was to examine the current status and the future prospects of the Japan Women's Football League through the case study of the two teams (Urawa Red Diamonds Ladies and Iga Football Club Kunoichi) belong to the League. Especially, before examining the case study of the two teams, the present study is to examine the History and Current Status of the Japan Women's Football League the following topics :###1. Japan Women's Football League (1)Establishment and purpose of the Japan Women's Football League (2)History of the League (3)Restart of the League (4)Reformation of the League###2. Reformation of"Nadeshiko League"###3. "Nadeshiko Vision"
著者
安福 純子
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 4 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.p377-386, 1994-02

本論は,卒業論文の準備にとりかかってから頻繁に「頭の中に割り込んでくる声」に困惑して相談室を訪れた男子学生の事例報告である。面接は8ヵ月にわたって24回持たれ,この間に68の夢の報告があった。この夢は面接を便宜上III期に分けると,第II期に溢れるように報告された。クライエントは第III期に再び卒業論文にとりかかり始め,母親が死ぬ夢を報告して後,面接は中断したが無事卒業していった。その後,卒業報告の手紙をもって終了とした。本症例を通して,青年の発達課題,夢が示唆したもの,中断の意味について考察した。This case study reports on the process of psychotherapy for a male student suffering from an inner voice disturbing his thinking.At the time,He was absorbed in preparing a graduation thestis.This process of treatment had three distinct stages,two of which are discussed in this paper.During the second stage,the client reported fifty seven dreams that suggested the relationship with his mother.In his dreams he modified his negative mother image to creat a posibive one.In the thirs stage,he tookd up work on his graduation thesis once again and began to see his real self.At this time,he was required to exercise the ability to cut off both inner and outer reality.After reporting a dream in which his moteher died,the client ceased coming to psychotherpy.Based on analyses of the series and content of the dreams,it was discussed that the devolopmental task of adolescents,the meaning of dreams,and the reason in this case for interrupting psychotherapy treatment.
著者
朝井 知 朝井 均 坂口 守男 朝井 栄
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. IV, 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.33-42, 2005-09-30

20世紀を代表するピアニスト,ウラディミール・ホロヴィッツ(1903-1989)は,卓越した演奏技術に加え,19世紀以前の浪漫派の伝統を継承した,傑出した音楽家として,現在でも,コンサートピアニストの「指標」となっている。その一方で,広く知られているように,ホロヴィッツは,生涯を通じ,数回にわたって公の演奏活動を休止している。ここでは,活動休止に至る経緯に注目した症候学的考察を,そして,木村の論考に基づき,演奏における音楽性を検討した上で,精神病理学および人間学的考察を試みた。症候学的には,ホロヴィッツが,神経症性うつ病の範疇にあることが示唆された。また,多くの聴衆を熱狂に導くような彼の音楽性においては,木村のいう二重主体性の完全な重なりが志向されており,そのために彼の私的間主観性が,過剰なまでに動員されいるものと考えられた。さらに,音楽に呼応する精神病理の観点からは、音楽性,精神病理,音楽美の多元的な関係における均衡の破綻によって,その病理の表出に至った可能性が示唆された。
著者
冨永 光昭
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. IV, 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.47-56, 1997-08

本稿は,1996年3月27日から1996年4月4日にかけてのスイス研修を基に,スイス障害児教育研究をすすめるパースペクティブを提示することを目的としている。スイスでは,ハンゼルマン,モア亡き後,ヘーベルリン,コビー,ビューリー等により治療教育学の理論化の作業が進められている。この現代スイス治療教育学の動向を明らかにすることが課題として示された。また,スイスの障害児教育システムには,1960年に施行された連邦障害保険法の存在が大きな影響を与えている。この法令が有する問題点を詳細に跡づける必要があろう。さらに,スイスは26の州による連邦国家で,ドイツ語圏,フランス語圏,イタリア語圏等により障害児教育システムの様相が異なっており,今後,障害児のインテグレーションを中心にこの構造を解明する必要性が指摘された。In dieser Arbeit beabsichtige ich, die Perspektive der Studien über die Behindertenpädagogik in der schweiz mit dem Erfolg der Studienreise vom 27. Marz bis 4. April in der Schweiz, zu erlautern. Die Perspektive, die vorlegte ich, sind wie folgt. 1, Die Entstehung und die Eigenschaft der Behindertenpädagogik bei Haeberlin, U., Kobi, E. E., Bürli, A.u.a.m., welche der Behindertenpädagogik in der Schweiz heute gross beeinflusst hätten, müssen immer wieder betrachtet werden. 2, Der fragliche Punkt und die Aufgabe der Eidgenössischen Invalidenversicherung, die einen grossen Einfluss auf die Politik und das System der Sonderschulung der einzelnen Kantone in der Schweiz hat, müssen aufklärt werden. 3, Die Eigenschaft der System der Sonderklasse in der Schweiz, die eine Position im System der Regelschule Erziehung einnimmt, muss afuklärt werden. 4, Der Unterschied der schulischen Integration behinderter Kinder im deutschsprechenden Schweiz, dem französischsprechenden Schweiz, italienischsprechenden Schweiz und die Basis der Theorien müssen immer wieder aufklärt werden.
著者
梅崎 さゆり 吉田 雅行 吉田 康成
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 第4部門 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.227-240, 2009-02

本研究は,ゲーム中のスパイク動作における移動や助走,踏み切り局面の接地パターンを明らかにすることを目的とした。2006年世界選手権男子ブラジル対イタリア戦で実際のゲーム中に攻撃に参加した選手のスパイク動作65試技を対象として両足接地時間を記録し接地パターンの分析を行った。その結果,ブラジル,イタリアの両チームの攻撃に参加した選手の接地パターンには,接地時間のばらつきが少ない助走とばらつきが多い移動という2つの接地の仕方があることが明らかとなった。ブラジルチームでは37試技中32ケースについて4歩助走,残り5ケースは3歩助走を行っていた。一方,イタリアチームでは,28試技中全てのケースについて3歩助走を行っていた。これらの結果は,ゲーム中にスパイク技術を発揮するためにはそれぞれの選手が一定した助走技術を獲得していること,助走まではゲーム状況に応じた移動のステップを用いていることを示唆している。The purpose of this study was to make clear the grounding pattern of foot movement on spiking motion (movement, approach and jump phase, respectively) in volleyball game. We analyzed that grounding pattern in 65 spiking motion of attacking players in the match of Brazil versus Italy in 2006 Men's World Championships. The results that grounding pattern (1.movement phase, 2.approach phase) were found by analyzing about grounding time of each step. Most of all Brazilian spiker performed 4 steps approach 32 of 37 cases and 3steps in remaining 5 cases. In Italian spiker, all cases performed 3steps approach. These results suggested that each player had regular technique of approach and used the optimum step of movement to perform the spiking skill in game situation.
著者
松原 英輝 入口 豊 中野 尊志 西田 裕之 中村 泰介
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. IV, 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.51-70, 2006-09-29

競技スポーツにおいて,若年期から発育・発達を考慮した選手育成を行っていく必要性があることは世界の常識となっている。フランスは,1970年代始めにヨーロッパにおいてプロサッカー選手育成システムをいち早く導入し(モアン,2000),世界のサッカー界の中でも先駆的に若年層の体系的・組織的育成に着手している国である。また同時に,強豪国の中で唯一国立のサッカー学院を持つ国でもある。その成果が,1998年のワールドカップでのフランス代表チーム優勝へと結実したとも言われている。本研究は,このフランスの青少年期におけるサッカー選手育成システムに着目し,その長期的な視野に立った若年層の選手育成システムの理念と実情を分析し,今後の日本の青少年サッカー選手育成システム改革に資する資料を得ることを目的とする。特に,本稿ではフランスの若年層におけるサッカー選手育成システムの現状とその特徴について、(1)育成スタイル(2)育成年齢とその期間(3)システム化されたプログラム(4)育成のための特別な施設(5)中央と地方との結びつき(6)育成システム終了後のプロサッカー選手への到達率とその活躍の6つの視点から明らかにした。
著者
土井 秀和
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 第IV部門 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.107-116, 1983-09-30

近年シュート技術の発展は目ざましいものがあるが,サイドシュートは技術的課題を多く含んだものであるため実践的な試みが積み重ねられている。とりわけこのシュートの巧拙はチームの得点能力に大きな鍵となっている。本研究は多様なサイドシュートのうち特に左サイドからのジャンプシュートをとりあげ,その成功に影響を及ぼす助走の方向と踏み切り姿勢を実験条件として,サイドシュートの技術的特性を運動形態学的に分析したものである。結果として次のことが明らかにされた。1)防御者にボールを奪われないようにする方法として,ボールを前方又は後方高く保持しながら上体をゴールラインの方向に傾けるか,背中を防御者に向けることが有効である。2)右手投げの場合,リリース時のボール速度を最大にする技術として,左肩を前方に出した半身の姿勢によって胴体をねじり,その後右足を後方に振りながらねじり戻し動作を行なうことが有効である。3)ゴールポストにボールが入る空間をより大きくするために,リリース時のシュート角度を大きくすることは極めて重要である。(1)ゴールラインの方向から助走して行なうシュートの場合は,踏み切り姿勢にかかわらず,ペナルティースローラインの方向に跳躍できるのでシュートの成功に有利である。(2)またフリースローラインの方向から助走して行なうシュートの場合は,右足で踏み切りその際右肩を前方に出す踏み切り姿勢によって,フォワードスイング期に上体をペナルティースローラインの方向に傾けながら,サイドスローを行なうことができるのでリリース時のシュート角度を大きくすることができる。In the Hand Ball game, various shoot-techniques are carried out. Among them, the most important one to win the game is the side-shoot technique. So, this study analyzes morphologically some techniques of jumping-side-shoot from the left side of the Hand Ball coat. This experiment sets the conditions on the directions of approach-running and the postures of jumping-up in performing side-shoot. This study leaves much problem, but following tendencies can be observed from the results obtained so far; 1) It is important technique for the success of the side-shoot that the shooter don't be cut the ball by his defenders. So, when he tries to side-shoot, he must incline his upper part of body toward the Goal-line or must turn his back to the defender, holding the ball upward or backward. 2) In any directions of approach-running, the right-hand-thrower jumps up by his left-foot and puts his left-shoulder forward, and then he twists his upper part of body to the right in the air. So, he makes the effective throwing motion for side-shooting. 3) Concerning the side-shoot running-approach direction from the Coal-line, if the shooter jumps up toward the Penalty-Throw-line in any postures of jumping-up, he can spread the shooting-angle which makes the goal-space much wider. 4) About the side-shoot running-approach direction from the Free-Throw-line, if the shooter jumps up by his right-foot and puts his right-shoulder forward and then he inclines his upper part of body toward the Penalty-Throw-line, he could success the good shooting by making the same conditions as above 3).
著者
藤田 裕司 阪木 啓二 冨田 和士 小栗 脩平
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. IV, 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.93-101, 1999-08

集団学習に基づくTATの事例研究の一環として,今回は,20代前半の男子青年のケースを3例,シリーズで報告する。3例とも障害児教育を専攻する本学大学院修士課程の1回生である。紙幅の都合上,各々のTATプロトコルまでを本稿に収録し,それ以下の部分は次稿に続く。As part of our TAT (Thematic Apperception Test) case studies based on the group learning supervised by the first author of this article, a serial examination of three male cases was made. All of them, aged 22 or so, were enrolled in a postgraduate course of special education. In this article, their TAT protocols were presented in sequence. Their own interpretations and the supervisor's comments on them are to be shown in the following number of this journal
著者
安福 純子
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. IV, 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.251-258, 1995-02

本論文では女性の心の発達を考察するのに,昔話や神話,童話を参考にするという立場にたって,論をすすめた。取り上げた昔話は「天稚彦物語」である。この話はアプレイウス作「黄金のろば」の中にでてくる「アモールとプシケー」に類似している。「アモールとプシケー」は序,死の結婚,行為,4つの課題,幸いなる結末という構成からなっているが,「天稚彦物語」は序,恐ろしい結婚,行為,4つの課題,七夕の由来となる結末という構成である。「アモールとプシケー」についてはノイマンによる女性の自己実現という観点からの考察がある。本論では「アモールとプシケー」に類似してはいるが独特な部分のある「天稚彦物語」を素材にして,女性の心の発達について考察した。In this thesis I have pursued my theoretical studies of the psychic development of the feminine through reference to old stories,myths and fairy tales.The old story taken up here is"The Tale of Amewkahiko".This story resembles that of"Amor and Psyche"which appears in"Golden Donkey"written by Apuleius."Amor and Psyche"consists of a prologue,marriage of death,an act,four themes and a happy ending while"The Tale of Amewakahiko"consists of a prologue,a fearful marriage,an act,four themes,and an ending which is the origin of the Star Festival.As for"Amor and Psyche"the study is made from the viewpoint of self-realization of woman by Neumann.Although similar to"Amor and Psyche","The Tale of Amewakahiko"is unique in place and presents an interesting platfrom to study the psychic development of the feminine.
著者
山田 正行
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 第4部門 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.171-185, 2008-09

フロイトとエリクソンの心理歴史的研究に基づき,無限の世界における歴史とアイデンティティを自己教育論の視座から研究するための基本的な枠組みを構成するために,時代状況におけるライフヒストリーとヒストリカル・モメントの相関性,自己教育と主体性の弁証法,自己分析の弁証法について,ソクラテス,アリストテレス,パスカル,ヘーゲル,フォイエルバッハ,マルクス,ハイデガー,アルチュセール,フーコー,ブルデュ,西田幾多郎,三木清,宮原誠一たちの思想や理論を考察した。In order to construct the fundamental framework for the study of history and identity in the infinite world based on the psycho-historical study of Freud and Erikson, I investigate the interrelation between life history and historical moment in the stuation, dialectic of self-education and subjectivity, and dialectic of self-analysis by considering the thought and praxis of Socrates, Aristotle, Pascal, Hegel, Feuerbach, Marx, Heidegger, Althusser, Foucault, Bourdieu, Nishida, Miki, Miyahara.