著者
石田 雅人 土井 一弘
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 (0xF9C4)教育科学 04 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.199-207, 1996-02

Two groups of 11 pond turtles each were trained with right-vs.-left spatial discrimination problem to a criterion of 19/20 correct responses over two consecutive sessions in a T-maze. Then one group (CT) received the reversal, the other (OT) received a total of 150 trials of overtraining followed by reversal. A rubber-made curtain was attached near the choice point of the apparatus to prevent the subject from automatizing their movement, and an irrelevant brightness cue was presented in the goal throughout original and reversal learning. The results showed that Group OT did not reverse faster than Group CT despite of no difference between groups in terms of trials to criterion during original discrimination training, i.e., they did not show the overtraining reversal effect. The data are compared with those from our previous experiment with turtles and discussed in relation to the assumptions about a spatial discrimination derived from the two-process hypothesis.1群11匹の淡水ガメがT迷路において左右の位置を関連次元とする空間弁別課題で訓練された。学習基準は連続する2セッション(1セッション10試行)で19/20の正反応である。そののち1つの群(CT)は逆転学習に移り,もう1つの群(OT)は150試行の過剰訓練を受けた後に逆転学習が与えられた。装置内の選択点の近くに運動の自動化を防ぐことを目的としてゴム製のカーテンが取り付けられ,さらに目標箱には無関連手掛かりとしての明るさ手掛かりが原学習・逆転学習を通じて提示された。その結果学習基準到達試行数において,原学習で両群間に差がなかったにもかかわらず,OT群がCT群に比べて逆転学習が速いという証拠は見いだされなかった。つまり過剰訓練逆転効果は生起しなかった。この結果はカメを用いた筆者らの以前の実験結果と比較され,さらに二過程説(注意説)に由来する位置弁別に関する仮説について考察された。
著者
岡村 妥子 永松 昌樹
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 (0xF9C4)教育科学 04 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.189-203, 1999-08

本研究は,ニュージーランドの中学・高校で使用されている日本語の教科書において日本のレジャー・レクリエーション活動やスポーツ行動がどのように扱われ,紹介されているかに注目した。各教科書のレジャー・スポーツの章に焦点を当て,語句や表現及び,文化紹介の項目を詳細に調べた。中学で使われている教科書においては,まず,「空手」「剣道」「柔道」「相撲」などの伝統的なスポーツの内容が紹介されていると共に,それらのスポーツが単語として基本表現の中で使われる傾向にある。また,日本で一般的に人気のあるスポーツとしては,「野球」が例に出されることが多く,「バレーボール」や「バスケットボール」がそれに続く。高校生用教科書では,中学で学習した日本の伝統的なレジャー・スポーツに加えて,現在の日本で一般大衆に人気のあるレジャー・レクリエーションとスポーツがより詳しく紹介されている。特に「野球」と「サッカー」が日本でとても人気のあるスポーツとして扱われている。この他,高校でさらに新しい単語として学習するものとして,「ジョギング」は公園などで手軽にできるスポーツであり,また「卓球」と「陸上競技」は学校のクラブ活動で人気のあるスポーツであるとしている。全般的に,どこに行っても広いスペースを持つ人口360万人のニュージーランドで行われるレジャー・レクリエーションやスポーツとは対照的な日本独特の風土を象徴したレジャーやスポーツが扱われているといえよう。This study firstly explored the Japanese language education system as to how the language and its culture are taught in secondary schools in New Zealand. It focused on leisure and sports among the cultural topics in Japanese syllabus. Secondly, it investigated how the Japanese leisure and sports are introduced in Japanese language textbooks widely used in secondary schools in New Zealand. Eight textbooks published between 1989 and 1995 with chapters dealing with leisure and sports were chosen. It was found that in junior level textbooks, sports such as KARATE, KENDO, JUDO and SUMO are introduced as traditional Japanese sports, while in senior level textbooks, focus is mainly on present popular sports such as baseball and soccer. At junior level, baseball is simply introduced as a popular sport in Japan while at senior level it is covered in more detail with the emphasis that the game is especially popular because of professional leagues and that people tend to spend their past time not only playing the game themselves, but also watching the professional games. Soccer is considered to be a sport which has been increasing in its popularity because ov the introduction of professional leagues in 1992. Other sports such as volleyball and basketball are introduced as popular sports especially among junior high school students taking them up as extracurricular sport activities at school. Table tennis and athletics are regarded as popular extracurricular sport activities at senior high school. At senior level, golf is also introduced as sport mainly among Japanese businessmen and housewives and it is described as the most expensive sport in Japan. It is expected that in future changes on Japanese peoples' values towards the sports and how they spend their past time will be introduced in the textbooks.
著者
土井 秀和
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 (0xF9C4)教育科学 04 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.p69-82, 1992-09

この研究は,これまでのボールゲームのトレーニングに関わる問題点を客観的に洗い出すと共に,ボールゲームの発展方向を国際的な視野に立って探る中で,これからのトレーニングの効果的あり方・方法を追求したものである。研究の方法は世界で最もスポーツ運動学研究及びボールゲーム研究が進んでいるとみられるドイツ(また,競技成績の面でも常にトップ水準を維持し,世界をリードしている)圏の文献を中心に分析・検討を加えると共に,筆者のハンドボール日本女子ナショナルチームのコーチとしての実際的収集情報資料等の客観的検証・活用などに依拠している。その結果を総括的に言うと,これまでのボールゲームのトレーニングはゲーム能力として統合される全体に有機的に連動するトレーニングのあり方を十分に認識させる事なくゲーム能力の各構成要素となる体力,技術,戦術を分けて捉え,独立した領域として扱ってきたが,これからは,統合された有機的全体としてのゲーム能力を効果的に習熟することが不可欠であり,そのためには,身体的な負荷のもとで,技術練習を統合した戦術練習が総合的なゲーム能力の練習と平行して行われなければならないということが強調できる。このようなトレーニングの改革と適用に依って,国際的に長く低迷しているわが国のボールゲームの競技水準の向上の第一ステップは確実に始まると考えられるわけである。
著者
大淵 憲一
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 (0xF9C4)教育科学 04 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.p37-47, 1985-08

大阪府下に住む社会人124名と大学生130名に対して,Averillの質問紙「怒りの日常的経験」を施行した。これは,被験者が最近経験した怒りの出来事を想起させ,それについて挑発因,動機,反応など様々の観点から評定させるものである。本編では,怒りの経験の性差を媒介する要因を明らかにするために,被験者の性別と身分,対象の性別,対象との関係を要因とする分散分析と対数線型分析によってそれらの交互作用を分析した。その結果,(1)怒りの経験の性差は大学生よりも社会人において生じやすく,年長者ほど性差が顕著になることが示された;(2)対象の性別は重要な要因ではなく,怒りの下では人々は相手が男性であっても女性であってもよく似た反応をしやすい;(3)今回取り上げた要因中では,対象との関係が最大のもので,最も多くの有意な交互作用が得られた。特に,女性は親しい対象に対しては攻撃反応を行いやすく,男性は反対に親しくない対象に対して行いやすいことは,攻撃反応の性差が対象との関係に依存することを明らかにしている。
著者
大淵 憲一
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 (0xF9C4)教育科学 04 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.p25-32, 1987-08

大阪府下に住む成人123名と130名の大学生に対して,Averillの質問紙「怒りの日常的経験」を施行した。この質問紙は,被験者が最近経験した怒りの出来事を想起させ,それについて,挑発因,動機,反応など様々の観点から評定させるものである。本稿では,彼らの回答について性差を検討する分析を行なった。その結果,怒った時女性は男性に比べて,関接的攻撃反応,非攻撃的反応,それに消化器系の症状が多く,血管系の症状は少なかった。また,女性は家族に向けた怒りが多かったのに対して,男性は友人に対する怒りが多かった。さらに,女性は男性より怒りの出来事の後で,不愉快な感情を残す傾向が見られた。また,いくつかの項目において,性差は大学生よりも社会人において顕著に見られた。以上のような性差が見られたとは言え,怒りの経験には一方で男女の間に多くの類似性もあった。とりわけ,怒りの強度や頻度,挑発的諸側面,動機,それに,直接的攻撃反応について両性はよく似ていた。
著者
井谷 善則
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 (0xF9C4)教育科学 04 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
no.22, pp.109-117, 1974-02

As an attempt to make clear the mechanism of the maternal and filial affections in a disordered family, I made a survey of the mechanism of school phobia. A primary factor is maternal excessive cares of children or home education. In this attempt, the following aspects are considered important as the basis of further studies of family ties: 1) We refuse to trust others with our judgements of value. 2) We confront diversity of value. 3) We worry ourselves about want of feelings of worth and a measure of value. In this paper these three aspects are reviewed and to consider the mechanism of a family it is found that these aspects play a important role to bring the domestic felicity.