著者
杉 繁郎
出版者
東京昆蟲學會
雑誌
昆蟲
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.364-367, 1967

Dasythorax ogasawarae Matsumuraオガサワラヒゲヨトウは, 松村(1931, 日本昆虫大図鑑 : 786)によつて図説されたが模式標本は失われたらしく, その正体はかつて不明の蛾であつた.しかし, その図とほぼ一致する蛾が岩手県各地に少なからず産することは岡野磨瑳郎氏によつて発見され, 現在この蛾は上記の学名に同定されている.ただ一つの疑問は, Dasythorax ogasawaraeの原産地が, 小笠原島(父島)と記されていることであるが, 松村博士はしばしば"ogasawarae"という種名を岩手県でとれた蛾に命名しており, それらは標本提供者の名に因むものであつて, 地名を示すものではない.おそらく本種の場合も, その原産地は岩手県であつたものを, 松村博士が誤記したものと推定される.この蛾は, 実はDasythoraxではなく, 属Dasypoliaに属するもので, 中央アジアや蒙古などに産するD.lama Staudinger, 1896と同種であることが判つたので, ここに再記載し, 雄交尾器を図示した.ウスリーから1♀のみで記載されたD. fani Staudinger, 1892は, 上記の種と同種とされているが, 正確には明らかでない.日本における既知産地は, 岩手県(浄法寺, 沼宮内, 盛岡)と長野県(松本市中山, 山形村)の数力所のみで, 11, 12月に出現し, 3月にも1♀が得られている.

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@wormanago 蛾ではオガサワラで混乱した事例がありましたね。 https://t.co/EIuCh1MEFA

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