著者
杉 繁郎
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.115-118, 1994

タイ国産のEuhamsponiaの1新種を記載した.この新種は,ヒマラヤのE. niveiceps (Walker),台湾のE. formosana (Matsumura)シロズエグリシャチホコ,スンダランドのE. roepkei Hollowayと併せてこの群を構成する.雄交尾器の腹縁から側方に張出すフラップ状の構造は本種に固有である.中国本土の標本では,若干形状に差異があるが,本文では上記の新種に含めた.従来Euhampsonia gigantea (Druce)として扱われていた種をEuhampsoniaから分離し, Gangaridesに移した.
著者
杉 繁郎
出版者
東京昆蟲學會
雑誌
昆蟲
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.364-367, 1967

Dasythorax ogasawarae Matsumuraオガサワラヒゲヨトウは, 松村(1931, 日本昆虫大図鑑 : 786)によつて図説されたが模式標本は失われたらしく, その正体はかつて不明の蛾であつた.しかし, その図とほぼ一致する蛾が岩手県各地に少なからず産することは岡野磨瑳郎氏によつて発見され, 現在この蛾は上記の学名に同定されている.ただ一つの疑問は, Dasythorax ogasawaraeの原産地が, 小笠原島(父島)と記されていることであるが, 松村博士はしばしば"ogasawarae"という種名を岩手県でとれた蛾に命名しており, それらは標本提供者の名に因むものであつて, 地名を示すものではない.おそらく本種の場合も, その原産地は岩手県であつたものを, 松村博士が誤記したものと推定される.この蛾は, 実はDasythoraxではなく, 属Dasypoliaに属するもので, 中央アジアや蒙古などに産するD.lama Staudinger, 1896と同種であることが判つたので, ここに再記載し, 雄交尾器を図示した.ウスリーから1♀のみで記載されたD. fani Staudinger, 1892は, 上記の種と同種とされているが, 正確には明らかでない.日本における既知産地は, 岩手県(浄法寺, 沼宮内, 盛岡)と長野県(松本市中山, 山形村)の数力所のみで, 11, 12月に出現し, 3月にも1♀が得られている.
著者
杉 繁郎
出版者
東京昆蟲學會
雑誌
昆蟲
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, 1964
著者
杉 繁郎 大塚 勲
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.77-79, 1984-09-20

1983年4月,熊本県上益城郡矢部町目丸で採集された5♂の標本にもとづいて,新種Orthosia yoshizakii SUGI & OHTSUKAヒゴキリガ(新称)を記載した.本種は,日本産Orthosiaのうちでは,もっともO.lizetta(BUTLER)クロミミキリガに似るが,雄の触角が鋸歯状である点で,容易に区別される.その他の種とは,前翅の環状紋は暗色点で表され,環をもたないこと,腎状紋全体がほぼ一様に黒く染められることなどが区別点となる.雌は未知.上記の標本は著者のひとり大塚が,吉崎一章氏とともに採集したもので,同氏の多年にわたるご協力に対し厚く御礼申し上げる.種名は同氏に献名したものである.