- 著者
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姜 娟
原山 優子
- 出版者
- 研究・イノベーション学会
- 雑誌
- 研究 技術 計画 (ISSN:09147020)
- 巻号頁・発行日
- vol.20, no.1, pp.63-77, 2005
- 参考文献数
- 72
- 被引用文献数
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4
1980年代以降に顕著となる, 科学技術政策と地域政策との意識的な接合-それを「地域科学技術政策」と呼ぶことにする-への取り組みは, 社会における科学・技術の位置や性格の変化とグローバル化という二つの大きな歴史的変化を背景とした科学技術政策と地域政策の双方における一つの転換を印している。その転換において, 新たな政策の目標や手段は, 時代変化の性格とそれが課す挑戦についての一定の理論的理解に基づくと同時に, 政策の形成や実施の制度的条件によっても規定されるが, さらに, 政策転換も一直線ではなく, 学習によって段階を経るという点で歴史的経路依存性をもっている。本稿においては, 「地域科学技術政策」は当初の「サイエンス・パーク・パラダイム」から, 90年代に入って, 「ラーニング・リジョン・パラダイム」へ進化してきたと捉えているが, 日本におけるその進化過程を欧米におけるそれとの対比で検討する。