著者
西岡 恵里 船坂 陽子 長濱 通子 鷲尾 文郎 加藤 晋造 松村 武男 市橋 正光
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.97-102, 1996
被引用文献数
3

21歳, 男性。平成6年9月ピラニアの捕獲目的でブラジルのマナオスからネグロ川ぞい約300km上流のジャングルに旅行中, 右上腕を蚊のような虫に刺された。虫刺部に発赤・腫脹を生じるようになり, 中心部には硬結がみられ血漿浸出液を伴う瘻孔を認めるようになった。帰国後近医を受診, 抗生物質を処方され腫脹はやや軽減したが, 右腋窩のリンパ節の腫脹がみられるようになり, その後瘻孔より白色半透明の虫体が出入りするのが目撃された。虫体は捕えようとすると素早く瘻孔にもぐりこんだ。患者自身がでてきた虫体の採取に成功し, 虫体を持参のうえ神戸大学付属病院皮膚科を受診。体長約1.5cm, 白色のとっくり状の虫体で同大医動物学教室にて, ヒトヒフバエのニ齢幼虫と同定された。ヒトヒフバエ(症)は日本土着のものではなく, 中南米からの輸入例が全部を占めている。1974年のKageiらの報告以来本邦12例目となる。最近5∿10年間に報告が集中しており, ヒトヒフバエが生息する中南米の熱帯雨林地域への旅行者の激増に伴う発生増加が要因と考えられる。

言及状況

外部データベース (DOI)

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現時点では低いのではないでしょうか。中南米の旅行者に寄生した例はあるようです。http://ci.nii.ac.jp/naid/110003818624
ウマバエ(Dermatobia hominis)=ヒトヒフバエはメキシコからアルゼンチンあたりの新熱帯区に分布しているということですので、日本にはいませんよ。普通は。 http://idsc.nih.go.jp/iasr/CD-ROM/records/16/18908.htm 一応、1996年の時点で「日本でも12例は確認されている」ようですので、100%寄生されないとは言えませんが、99 ...
人間の皮膚若しくは皮膚に近い組織に直接産卵し寄生する昆虫はほとんど見当たりません。(日本には人間に寄生する昆虫自体が発見されていません。) 人間の皮膚に近い組織に寄生するのは中南米産のヒトヒフバエ(ウマバエ)が有名ですが、このヒトヒフバエは直接人間の皮膚に産卵する訳では有りません。 一度雌の蚊に卵を付着させその蚊が人間を吸血する際に人間に寄生します。ですからヒトヒフバエの卵を持った蚊が人間の鼻 ...

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