著者
船坂 陽子
出版者
特定非営利活動法人 日本レーザー医学会
雑誌
日本レーザー医学会誌 (ISSN:02886200)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.309-314, 2007-01-15 (Released:2008-01-15)
参考文献数
39
被引用文献数
2 2

高齢化社会を迎え,光老化により生じた顔面のシミやシワ,あるいは若年者においてはニキビに対して,その改善と予防を望む声が高くなっている.美容皮膚科学的治療においてレーザー治療は重要な位置を占める.本稿ではレーザー光によりこれら病態に対してどのような治療効果がもたらされるのかを概説した.
著者
西岡 恵里 船坂 陽子 長濱 通子 鷲尾 文郎 加藤 晋造 松村 武男 市橋 正光
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.97-102, 1996
被引用文献数
3

21歳, 男性。平成6年9月ピラニアの捕獲目的でブラジルのマナオスからネグロ川ぞい約300km上流のジャングルに旅行中, 右上腕を蚊のような虫に刺された。虫刺部に発赤・腫脹を生じるようになり, 中心部には硬結がみられ血漿浸出液を伴う瘻孔を認めるようになった。帰国後近医を受診, 抗生物質を処方され腫脹はやや軽減したが, 右腋窩のリンパ節の腫脹がみられるようになり, その後瘻孔より白色半透明の虫体が出入りするのが目撃された。虫体は捕えようとすると素早く瘻孔にもぐりこんだ。患者自身がでてきた虫体の採取に成功し, 虫体を持参のうえ神戸大学付属病院皮膚科を受診。体長約1.5cm, 白色のとっくり状の虫体で同大医動物学教室にて, ヒトヒフバエのニ齢幼虫と同定された。ヒトヒフバエ(症)は日本土着のものではなく, 中南米からの輸入例が全部を占めている。1974年のKageiらの報告以来本邦12例目となる。最近5∿10年間に報告が集中しており, ヒトヒフバエが生息する中南米の熱帯雨林地域への旅行者の激増に伴う発生増加が要因と考えられる。
著者
船坂 陽子
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.2-6, 2008-03-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
37

太陽光への曝露により皮膚細胞に損傷が蓄積した結果, 光老化が生じる。光老化の症状のうち, 特にシミおよびシワに対して美容治療が求められる。ケミカルピーリング, イオン導入, レーザー光線等の光老化に対する治療については, すでに国内外から多く報告されている。しかし, どの程度の治療効果がもたらされるのかという点について, 特にその作用機序から考察した研究論文が発表され始めたのは, 1990年代後半からである。治療の作用機序の解明が進むと, 一方で光老化の病態解明につながることが期待できる。本稿では, 特にケミカルピーリングと光線治療により発生する熱の皮膚細胞に対する知見について概説する。
著者
古川 福実 船坂 陽子 師井 洋一 山本 有紀 米井 希 松永 佳世子 秋田 浩孝 上田 説子 薄木 晶子 菊地 克子 幸野 健 田中 俊宏 林 伸和
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.118, no.3, pp.347-356, 2008

Chemical peeling is one of dermatological treatments for certain cutaneous diseases or conditions or aesthetic improvement, which consists of the application of one or more chemical agents to the skin. Chemical peeling has been very popular in medical fields as well as aesthetic fields. Since scientific background and adequate approach is not completely understood or established, medical and social problems have been reported. This prompted us to establish and distribute standard guideline of care for chemical peeling. Previous guidelines such as 2001 version and 2004 version included the minimums for the indications, the chemicals used, their applications, associated precautions, and postpeeling care and findings. The principles were as follows :1) chemical peeling should be performed under the control and the responsibility of the physician. 2) the physician should have knowledge of the skin and subcutaneous tissue and understand the mechanism of wound-healing. 3) the physician should be board-certified in an appropriate specialty such as dermatology. 4) the ultimate judgment regarding the appropriateness of any specific chemical peeling procedure must be made by the physician in light of all standard therapeutic ways, which are presented by each individual patient. Keeping these concepts, this new version of guidelines includes more scientific and detailed approaches from the evidence-based medicine.
著者
堀川 達弥 船坂 陽子 長野 徹 加茂 統良 錦織 千佳子
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.482-488, 2008 (Released:2010-12-06)
参考文献数
13
被引用文献数
1

アトピー性皮膚炎17例の乾燥皮膚を対象にビーソフテン®ローションを8週間投与し,有効性および安全性の検討を行った。角層水分量は増加傾向を示したが有意ではなかった。経表皮水分喪失量は8週後では有意に低下した。乾燥,そう痒,紅斑,落屑,掻破痕の皮膚所見スコアは8週後では全ての症状が有意に改善した。Visual analogue scaleによる評価では,「見た感じのうるおい感」,「触った感じの滑らかさ」,「かゆみ」,「皮膚の色調」は8週後には有意に改善した。ビーソフテン®ローションの継続投与はアトピー性皮膚炎の乾燥皮膚に対して優れた治療効果を示し,高い患者満足度を与える薬剤であることが明らかとなった。
著者
船坂 陽子
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.132, no.12, pp.2671-2679, 2022-11-20 (Released:2022-11-21)
参考文献数
17

高齢化社会を迎え,慢性の紫外線曝露による光老化の治療を求められることが多い.光老化を予防するためには,遮光が必須である.サンスクリーン剤について正しい知識を持って活用することが肝要である.シミ,シワについては種々の治療法が確立されている.特にケミカルピーリング,IPL(Intense Pulsed Light),レーザー治療については繰り返し用いられることが多く,光老化皮膚に対して,長期反復して治療に用いた場合の安全性について検証した結果とあわせて解説した.
著者
旗野 翠 安原 美帆 髙山 良子 小畑 裕之 茂呂 修 佐伯 秀久 船坂 陽子 畑 三恵子
出版者
日本香粧品学会
雑誌
日本香粧品学会誌 (ISSN:18802532)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.6-12, 2020-03-31 (Released:2021-03-31)
参考文献数
11

We investigated the safety and usefulness of transparent solid soaps in parallel with ongoing treatment in patients with mild to moderate atopic dermatitis and seborrheic dermatitis with symptoms on the face. The soap is designed to be low in stimulation to the skin. Although there were no severe adverse effects, a minor one was noted related to the soap. One of the subjects discontinued the test product due to worsening of itching and eczema. After using the soap for four weeks, a significant improvement in the symptoms of drying and lichenification was observed. The visual analog scale score related to the skin condition also significantly improved, compared to that during the start of the study. In the questionnaire-based test response, approximately 90% of the subjects liked the feeling of using the soap. Overall, this study indicated that the investigated solid soap was safe and did not hamper the ongoing treatment.
著者
山本 博徳 阿部 孝 石黒 信吾 内田 恵一 川崎 優子 熊谷 秀規 斉田 芳久 佐野 寧 竹内 洋司 田近 正洋 中島 健 阪埜 浩司 船坂 陽子 堀 伸一郎 山口 達郎 吉田 輝彦 坂本 博次 石川 秀樹 岩間 毅夫 岡﨑 康司 斎藤 豊 松浦 成昭 武藤 倫弘 冨田 尚裕 秋山 卓士 山本 敏樹 石田 秀行 中山 佳子
出版者
一般社団法人 日本遺伝性腫瘍学会
雑誌
遺伝性腫瘍 (ISSN:24356808)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.59-78, 2020 (Released:2020-09-25)
参考文献数
88

Peutz-Jeghers症候群は,食道を除く全消化管の過誤腫性ポリポーシスと皮膚・粘膜の色素斑を特徴とする希少疾患である.STK11遺伝子の生殖細胞系列の病的バリアントを原因とし,常染色体優性遺伝形式をとる.また,がん遺伝子パネル検査によって診断される可能性がある. 本症候群でみられる過誤腫性ポリープは小腸に好発し,ポリープが大きくなると出血,腸閉塞,腸重積の原因となる.初回の消化管サーベイランスは症状がなくても8歳頃を目安に行い,10〜15mm以上の小腸ポリープは内視鏡的ポリープ切除術を行う.消化管,乳房,膵,子宮,卵巣,肺,精巣などに悪性腫瘍の発生が認められ,適切なサーベイランスが必要である. 本診療ガイドラインでは,小児から成人にかけてシームレスに,正確な診断と適切な治療・サーベイランスが行われるよう, 基本的事項を解説し,4個のクリニカルクエスチョンと推奨を作成した.
著者
船坂 陽子 田村 真吾 薄木 晶子 荒木 敬司 大橋 明子 市橋 正光
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.138-143, 2002

2000年10月1日から2000年11月30日までの2ヵ月間に神戸大学医学部附属病院皮膚科外来を受診した女性の尋常性痙瘡患者22例に対し, 「ノブ (R) ACスキンケアシリーズ」の使用試験を実施した。<BR>本製品は, Propionibacterium acnesに対して抗菌作用を有する感光素201号, 抗炎症効果が知られるグリチルリチン酸ジカリウムを配合するなどしたスキンケアシリーズで, 化粧落とし, 洗顔料, 化粧水および保湿ジェルの4品からなる化粧品である。2週間の使用試験において副作用例はなく, 全症例22例中21例に安全性を認めた。1例において, 洗顔料の使用部位に本試験品とは因果関係不明の紅色丘疹を認めたが, 使用中止により症状は軽快した。<BR>これらの結果から, 本試験に供した「ノブ<SUP> &reg; </SUP>ACスキンケアシリーズ」は痙瘡患者に対しても安全に使用できるスキンケア製品と考えられる。
著者
古川 福実 松永 佳世子 秋田 浩孝 上田 説子 薄木 晶子 菊地 克子 幸野 健 田中 俊宏 林 伸和 船坂 陽子 師井 洋一 山本 有紀 米井 希
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.118, no.3, pp.347-356, 2008-03-20 (Released:2014-12-03)

Chemical peeling is one of dermatological treatments for certain cutaneous diseases or conditions or aesthetic improvement, which consists of the application of one or more chemical agents to the skin. Chemical peeling has been very popular in medical fields as well as aesthetic fields. Since scientific background and adequate approach is not completely understood or established, medical and social problems have been reported. This prompted us to establish and distribute standard guideline of care for chemical peeling. Previous guidelines such as 2001 version and 2004 version included the minimums for the indications, the chemicals used, their applications, associated precautions, and postpeeling care and findings. The principles were as follows :1) chemical peeling should be performed under the control and the responsibility of the physician. 2) the physician should have knowledge of the skin and subcutaneous tissue and understand the mechanism of wound-healing. 3) the physician should be board-certified in an appropriate specialty such as dermatology. 4) the ultimate judgment regarding the appropriateness of any specific chemical peeling procedure must be made by the physician in light of all standard therapeutic ways, which are presented by each individual patient. Keeping these concepts, this new version of guidelines includes more scientific and detailed approaches from the evidence-based medicine.
著者
船坂 陽子 松中 浩 榊 幸子 山村 達郎 山本 麻由 錦織 千佳子
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.299-308, 2005

イオントフォレーシスによるビタミンC誘導体の日光性黒子や雀卵斑などの色素斑に対する効果を確認するために,2種類のイオントフォレーシス装置を用いた臨床試験を実施した。<BR>5%リン酸L-アスコルビルナトリウムを,院内用のイオントフォレーシス装置にて医師が週1回3ヵ月,家庭用のイオントフォレーシス装置にて被験者自身が1日1回4ヵ月,それぞれ片顔にイオントフォレーシスを施行し,もう一方は対照側として無塗布および単純塗布のhalf face法とした。<BR>皮膚所見ならびに画像解析の結果,イオントフォレーシス側において,それぞれ32例中31例,37例中37例に有効性を認め,対照側よりも高い改善効果を得た。<BR>また,分光測色計を用いた皮膚色の測定によって皮膚が明るくなることが,さらにレプリカを用いた皮膚表面の形態観察によって皮溝と皮丘から形成される頬部のきめが均一になることがわかった。<BR>以上のことから,イオントフォレーシスは,ビタミンC誘導体の色素斑に対する効果を高めるとともに,皮膚色やきめをも改善することが明らかとなった。
著者
船坂 陽子 松中 浩 榊 幸子 山村 達郎 山本 麻由 錦織 千佳子
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.299-308, 2005 (Released:2011-05-17)
参考文献数
19
被引用文献数
2

イオントフォレーシスによるビタミンC誘導体の日光性黒子や雀卵斑などの色素斑に対する効果を確認するために,2種類のイオントフォレーシス装置を用いた臨床試験を実施した。5%リン酸L-アスコルビルナトリウムを,院内用のイオントフォレーシス装置にて医師が週1回3ヵ月,家庭用のイオントフォレーシス装置にて被験者自身が1日1回4ヵ月,それぞれ片顔にイオントフォレーシスを施行し,もう一方は対照側として無塗布および単純塗布のhalf face法とした。皮膚所見ならびに画像解析の結果,イオントフォレーシス側において,それぞれ32例中31例,37例中37例に有効性を認め,対照側よりも高い改善効果を得た。また,分光測色計を用いた皮膚色の測定によって皮膚が明るくなることが,さらにレプリカを用いた皮膚表面の形態観察によって皮溝と皮丘から形成される頬部のきめが均一になることがわかった。以上のことから,イオントフォレーシスは,ビタミンC誘導体の色素斑に対する効果を高めるとともに,皮膚色やきめをも改善することが明らかとなった。