著者
野田 伸一 山本 進 内川 公人
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.339-346, 1996
参考文献数
22
被引用文献数
8 8

鹿児島県大隅地区のツツガムシ病流行地に4ケ所の調査定点を選定し, 1994年6月から1995年5月までの1年間にわたって, 毎月1回各地点から土壌サンプルを採取し, 表層土壌内に生息するツツガムシ類をツルグレン法によって調査した。その結果, タテツツガムシ, クロシオツツガムシ, フトゲツツガムシ, キタサトツツガムシ, フジツツガムシ, カンサイツツガムシ, シライタマツツガムシ, オガタワルヒツツガムシ, コシキワルヒツツガムシ, サダスクガーリエップツツガムシおよび未同定種(ドロシータマツツガムシ属)の11種が確認された。このうち, タテツツガムシは10-2月に, フトゲツツガムシは8-5月にそれぞれ採集された。さらに, 夏期のツツガムシ相を調べる目的で1995年7月と8月に, 調査定点とその周辺の18ケ所で土壌サンプルを採集した。その結果, フトゲツツガムシが5ケ所から確認された。したがって, 鹿児島でのツツガムシ病の媒介には秋-冬はタテツツガムシとフトゲツツガムシ, 春-夏はフトゲツツガムシの関与が推測された。一方, 1995年11月に住宅敷地内, その周辺部, 隣接する林内および耕作地で, 黒布を用いた見取り法とツルグレン法でツツガムシ類を調査した。その結果, いずれの場所からもタテツツガムシが採取され, 日常生活域にもタテツツガムシが生息して, ツツガムシ病の伝播の役を担う可能性が考えられた。

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