- 著者
-
池庄司 敏明
Bakotee Barnard
- 出版者
- 日本衛生動物学会
- 雑誌
- 衛生動物 (ISSN:04247086)
- 巻号頁・発行日
- vol.48, no.1, pp.25-31, 1997
- 被引用文献数
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7
ホニアラ市におけるマラリア駆除計画の一環として, 1993年10月から1996年2月までに11,373枚のペルメトリン処理蚊帳(通常蚊帳4,722枚, Olyset^[○!R]6,651枚)を配布した。配布蚊帳の現状把握とアフターケアーは, 駆除計画の持続性を維持するために大切である。そこで配布蚊帳のペルメトリン定量分析と効力試験をおこない, 処理薬剤の動態を調べ適切な使用法を推奨した。ガスクロで206枚の蚊帳を分析したところ, 残留量は258.1mg/m^2で, 残留量対数は使用月数に一次比例した。オリセットは洗剤使用の洗濯で76.3%の表面薬量を流出し, 太陽光暴露で81.5%が再露出した。無洗剤洗濯が推奨される所以である。蚊帳表面ペルメトリンの昆虫学的有効量閾値は60mg/m^2,疫学的有効量閾値は100mg/m^2で, 蚊は40分間にそれぞれに5.2と4.7回, 9.0と8.2分間係留した。一方, 無処理蚊帳には16回, 28分間係留した。野外では忌避性接触刺激性薬剤から飛逃するので, 昆虫学的に有効な蚊帳でも疫学的には有効ではない。現調査では配布蚊帳のわずか46.6%が昆虫学的に, 37%が疫学的に有効で, 薬剤再処理が切望された。