著者
矢部 辰男
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.259-268, 2004

家鼠は野鼠と異なる特有の採餌行動を示し, この行動がヒトへの加害機構と関わりを持つ. 家鼠は食物をヒトに依存する片利共生または寄食性の習性を持つ点で, 野鼠と本質的に異なる(矢部, 1995, 1996, 1998). 寄食性であるために, 建物内で食料や厨芥を食べるだけでなく, 物品に対しても健康に対してもヒトに様々な損害, 危害を与える. 条件によっては耕地や森林原野にも生息し, 農作物や野生の動植物も食べ, 野外と建物との間を移動する. 野外から建物に移動する際に病原体を建物内やその周辺に運び, さらに, 交通機関に紛れ込んでこれを各地へ運ぶ役割も果たす. このような建物内における食料やその他の物品への加害, 野外における農林上の加害, あるいは感染症の媒介などのような加害には, 家鼠の採餌行動と関わりの深い事例が多い(Yabe and Wada, 1983;矢部, 1997b, 1999, 2000;Yabe, 1998;Yabe et al., 2001). それは, 家鼠にとって, 食物の存否が建物内へのすみ着き, 野外における生活, そして建物への移動の主要な動機の一つだからである.

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最近の神奈川新聞の記事に、都市部でねずみが増えているということに関する記事が載っていた。 このことについて、根拠となる情報や論文、記事があれば見たい。 『日本衛生環境年報』は、既に確認した。 ※ 当該新聞記事は次の記事。   「ネズミに要チュー意 横浜市は4年で2倍 都市部で苦情急増 火災や感染症の恐れ」   (「神奈川新聞」朝刊 2012年6月24日 21面)

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