著者
朝比奈 正二郎 緒方 一喜
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.104-106, 1956
被引用文献数
1 4

昭和30年夏期に於けるドクガの被害は, 名古屋市を最大として全国的な規模に於て発生し, 多大の関心を集めたことは御承知の通りである.然し乍らその発生状況や被害量は主にジャーナリズムによつて喧伝され, 実際以上に誇張された面も多く, 正確な資料に基いてその実体を記録する事が極めて必要と考えられるのである.筆者らは, ドクガ被害の実体を確認するため, 国立予防衛生研究所長の名に於て, 各都道府県関係当局者に対し, 昭和30年度に於ける各地の発生, 被害状況の調査と報告とを依頼し, 又雑多な文献に散在している過去に於ける発生記録の蒐集につとめた.30年度の被害に関する上記の方法に於ては, 発生量, 被害量が主に被害届出数により類推されている点, 又過去の記録に関しては, 何等統一されたものではないので, 記録方法の杜撰, 相対的な比較が困難であるなどの不備な点は止むをえないが, 一応大体の傾向は窺知し得るものと考えられた.冒頭に於て, 上記資料の蒐集に多大の御協力を示された各都道府県市衛生部局の各担当官の方々に深甚の謝意を表するものである.

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