著者
林谷 秀樹 近江 佳郎 小川 益男 福富 和夫
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.905-908, 1989-10-15

1981年6月から1982年5月までの1年間に関東地方で死亡し, 動物霊園に埋葬された猫3936頭の死亡データを用いて, Chiangの生命表作成法に従って, 猫の生命表を作成した. これは家庭飼育猫について作成された最初の生命表と思われる. 生命表から算出された猫の平均余命は, 0歳で4.2歳, 1歳で5.0歳, 4歳で5.4歳, 5歳で5.3歳, 10歳で3.5歳, 15歳で2.2歳で, 最高死亡年齢は22歳であった. 猫の死亡確率は犬に比べ, 0歳から5歳にわたる幅広い年齢で著しく高かったが, 6歳以上においてはほぼ等しく, 犬と同様にGomperzの法則に従うように思われた. このように調査時点では猫の死亡確率の基本パターンは犬のものと著しく異なっていたが, 今後0〜5歳の低年齢における死亡確率が減少した場合には, 両者のパターンは近似すると思われた. 1歳の平均余命(e_1)は, 品種間(雑種, 純血種に大別)では差が見られなかったが, 地域間ではA地域(人口密度1万人以上)はB地域(1万人未満)に比べ有意に長かった. このことから, 犬の場合と同様, B地域ではA地域に比べ猫の平均余命を短くするような要因がより強く作用していることがうかがわれた.

言及状況

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動物霊園のデータを用いた猫の平均余命の推定とその疫学的考察(林谷ら 1989) http://t.co/Pl4RTTSU "猫の平均余命は, 0歳で4.2歳, 1歳で5.0歳, 4歳で5.4歳, 5歳で5.3歳, 10歳で3.5歳, 15歳で2.2歳" 低年齢での死亡が多い

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