著者
林谷 秀樹 近江 佳郎 小川 益男 福富 和夫
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science) (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.1003-1008, 1988
被引用文献数
2 27

1981年6月から1982年5月までの1年間に関東地方で死亡し, 1動物霊園に埋葬された犬4915頭の死亡データを用いて, Chiangの生命表作成法に従って, 犬の生命表を作成した. これは家庭飼育犬について作成された最初の生命表と思われる. 生命表作成の基礎となる犬の死亡確率の姿は人のものと基本的パターンがよく類似しており, 今回作成した犬の生命表は犬の集団の死亡秩序をかなり正確に表しているものと思われた. 生命表から算出された犬の平均余命は, 0才で8.3才, 1才で8.6才, 5才で6.1才, 10才で3.5才, 15才で1.6才であった. また, 犬の健康水準の指標としては飼い主の人為的な影響を受けやすい0才の平均余命(e<SUB>0</SUB>)より1才の平均余命(e<SUB>1</SUB>)のほうが望ましいと思われた. 犬種別(雑種, 純血種に大別), 地域別(人口密度1万人以上のA地域と1万人未満のB地域に大別)にも生命表を作成し, 得られたe<SUB>1</SUB>を比較した結果, 犬種間では雑種は純血種に比べ, また地域問ではA地域はB地域に比べe<SUB>1</SUB>は有意に長かった. 以上のことから, これらの犬種間, および地域間においては平均余命の長さを規制している要因になんらかの違いのあることがうかがわれた.
著者
林谷 秀樹 近江 佳郎 小川 益男 福富 和夫
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.905-908, 1989-10-15

1981年6月から1982年5月までの1年間に関東地方で死亡し, 動物霊園に埋葬された猫3936頭の死亡データを用いて, Chiangの生命表作成法に従って, 猫の生命表を作成した. これは家庭飼育猫について作成された最初の生命表と思われる. 生命表から算出された猫の平均余命は, 0歳で4.2歳, 1歳で5.0歳, 4歳で5.4歳, 5歳で5.3歳, 10歳で3.5歳, 15歳で2.2歳で, 最高死亡年齢は22歳であった. 猫の死亡確率は犬に比べ, 0歳から5歳にわたる幅広い年齢で著しく高かったが, 6歳以上においてはほぼ等しく, 犬と同様にGomperzの法則に従うように思われた. このように調査時点では猫の死亡確率の基本パターンは犬のものと著しく異なっていたが, 今後0〜5歳の低年齢における死亡確率が減少した場合には, 両者のパターンは近似すると思われた. 1歳の平均余命(e_1)は, 品種間(雑種, 純血種に大別)では差が見られなかったが, 地域間ではA地域(人口密度1万人以上)はB地域(1万人未満)に比べ有意に長かった. このことから, 犬の場合と同様, B地域ではA地域に比べ猫の平均余命を短くするような要因がより強く作用していることがうかがわれた.
著者
橋本 修二 福富 和夫 市川 誠一 松山 裕 中村 好一 木原 正博
出版者
日本エイズ学会
雑誌
日本エイズ学会誌 = The journal of AIDS research (ISSN:13449478)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.35-42, 2000-02-20
参考文献数
13
被引用文献数
4

緒言: 日本におけるHIV/AIDSの将来予測を行った。なお、凝固因子製剤によるHIV感染は検討の対象外とした。<BR>対象及び方法: 1998年末までのエイズサーベイランス報告、HIV感染報告の捕捉率、新しい抗HIV治療の受療者割合、AIDS発病の潜伏期間を基礎資料として, HIV感染者時点有病数とAIDS患者累積数を2003年末まで予測した。<BR>結果: HIV感染者時点有病数は日本国籍では1998年末で7,300人と推計され、2003年末で15,400人と予測された。外国国籍では1993年以降一定という仮定の下で700人と予測された。AIDS患者累積数は日本国籍では1998年末で925人と報告されており、2003年末では3,300人と予測された。外国国籍では1998年末で361人と報告されており、2003年末では900人と予測された<BR>。結論: HIV/AIDSの2003年末までの将来予測値を示した。
著者
福富和夫 橋本修二著
出版者
南山堂
巻号頁・発行日
2014