著者
猪谷 富雄 藤田 琢也 玉置 雅彦 黒柳 正典 藤井 義晴
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.316-323, 1999-12-01
参考文献数
8

タデ科, カタバミ科, アカザ科, シュウカイドウ科, バショウ科の体内に比較的高濃度のシュウ酸塩を含むことが知られている植物種(以後, 本論文ではシュウ酸植物と記す)計53種を供試し, それらの乾燥葉から滲出する物質のレタス初期生育に対するアレロパシー活性をサンドイッチ(SW)法によって検定した。SW法では供試植物乾燥葉を0.5%寒天中に包理後, 検定植物の種子をその上に播種し, 20℃で3日後の幼根長と下胚軸長を測定し, その伸長程度(対照区比)によって供試植物のアレロパシー活性を評価した。その結果, ショウ酸植物にはアレロパシー活性に関して大きな種間差異がみられ, 特にカタバミ科とシュウカイドウ科Begonia属において最も活性が強く, ほとんどの種で乾燥葉からの滲出物がレタスの幼根伸長を90%以上抑制した。次に, アレロパシー検定に供試したシュウ酸植物のうち18種の総シュウ酸含量(水溶性および不溶性を含む)を測定し, 上記SW法における幼根長の対照区比との関係を検討した。その結果, シュウ酸植物の総シュウ酸含量には大きな種間差異が存在し, かつほとんどの植物種については総シュウ酸含量とそのレタスの幼根伸長の対照区比との間には有意な負の相関が認められた。従ってシュウ酸植物の示すアレロバシー活性の一因は体内のシュウ酸であることが示唆された。一方, 数種のシュウ酸植物については上記の相関関係から逸脱するものも存在したので, これら植物のアレロパシー活性には, 植物体中の総シュウ酸の化学的形態の違いや他の抑制物質が関与している可能性が推察された。

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でもカタバミをえさにするチョウの飼育実験をやって、地域間で差を見るなら、カタバミのシュウ酸濃度の地域差は着手前に押さえてしかるべき情報だろうに。さっきの和文論文http://t.co/y4QEpJJBSo ではシュウ酸濃度が高い植物ほどアレロパシー(他の植物の生長抑制)活性が強い
でもカタバミをえさにするチョウの飼育実験をやって、地域間で差を見るなら、カタバミのシュウ酸濃度の地域差は着手前に押さえてしかるべき情報だろうに。さっきの和文論文http://t.co/y4QEpJJBSo ではシュウ酸濃度が高い植物ほどアレロパシー(他の植物の生長抑制)活性が強い
@a_iijimaa1 和文論文:「シュ ウ酸を多く含む植物のアレロパシー活性の検索」猪谷富雄ら 雑草研究 1999;44:316-323 http://t.co/y4QEpJJBSo p.320の表3に各種植物の総シュウ酸量の定量結果がありますが、残念ながらカタバミはなし
@a_iijimaa1 和文論文:「シュ ウ酸を多く含む植物のアレロパシー活性の検索」猪谷富雄ら 雑草研究 1999;44:316-323 http://t.co/y4QEpJJBSo p.320の表3に各種植物の総シュウ酸量の定量結果がありますが、残念ながらカタバミはなし

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