- 著者
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岡本 美和子
松岡 恵
- 出版者
- 一般社団法人 日本女性心身医学会
- 雑誌
- 女性心身医学
- 巻号頁・発行日
- vol.8, no.1, pp.85-92, 2003
- 被引用文献数
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本研究は,出産後1〜2ヵ月において子どもの持続する泣きに直面した初産婦が危機状態に至る経緯と,危機状態に陥る条件となる母親の背景を明らかにすることを目的として行った.危機状態までの過程は,母親が習慣的対処や試行錯誤的対処を行った後も子どもが泣き止まず,さらに追い込む要因が働き危機状態に至るとした.調査は,出産後2ヵ月まで母子ともに重篤な問題がなく経過した初産婦30名を対象に,1ヵ月健診後に体験した子どもの持続する泣きと母親の気持ちについての半構成的面接を行った.得られたデータを内容分析した結果,対象者全員が出産後1ヵ月以降に子どもの持続する泣きに直面しており,19名が危機状態あり群として認められた.危機状態に追い込む要因については,状況認知と支援内容において危機状態あり群なし群の両群間に有意差を認めた.状況認知では「何をやっても泣き止まない泣き」と捉え,対処時周囲からの支援が得られなかった母親が危機状態あり群では高率であった.さらに危機状態に陥った母親の背景として,必要な育児情報へのアクセスができない母親は『先の見えない不安』を,情報から迷いが生じた母親は『母親としての自信の揺らぎ』を,そして,必要な情報を選択できない母親は『泣き止まないことへの苛立ち』を感じていることが明らかになった.本研究の結果より,出産後2ヵ月頃までの子どもの持続する泣きに直面した初産婦の背景と育児情報に関わる問題の特徴が明らかになり,この時期の初産婦への支援の必要性と支援の具体的方向性が示唆された.