- 著者
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佐藤 嘉晃
石川 博之
中村 進治
脇田 稔
- 出版者
- 日本矯正歯科学会
- 雑誌
- 日本矯正歯科学会雑誌 (ISSN:0021454X)
- 巻号頁・発行日
- vol.54, no.3, pp.177-192, 1995-06
- 被引用文献数
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矯正力を加えた際の圧迫側歯周組織の経時的変化について, 組織反応ならびにそれらの三次元的な分布の推移から検討を加えた.成ネコの上顎犬歯を100gの初期荷重で遠心方向に傾斜移動し, 荷重開始から7日, 14日, 28日後の組織標本を作製した.これらの組織像, ならびに連続切片からコンピュータにより構築した三次元画像の観察を行った結果, 以下の知見が得られた.1. 7日間例にみられた無細胞帯および内変性帯からなる変性領域の分布は, 14日間例では三次元的に縮小しており, この過程ですでに変性領域の組織の修復が進行していると考えられた.14∿28日にいたる過程では, 変性領域の分布はさらに縮小しており, 大部分は修復されていた.しかし, 遠心側歯頚部の歯槽骨頂付近には依然として変性領域が残存していた.2. 14日間例において変性領域に面する歯槽骨に活発な吸収像が認められ, この部位からも変性領域の修復が進行することが示唆された.3. 上記の吸収形態は, 変性領域に面する歯根膜腔への骨髓腔の開口部に独立してみられたため, 従来の背部骨吸収は, (1) 歯槽骨内骨髓腔開口部に近接して出現する浅部での背部骨吸収と, (2) 歯槽骨内深くの骨髓腔に出現する深部での背部骨吸収に再分類することが妥当であると考えられた.4. 変性領域と破骨細胞の種々の骨の吸収形態には明瞭な位置関係が認められ, これらは歯根膜に分布する圧の程度と密接に関連していることが示唆された.