- 著者
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清水 龍瑩
- 出版者
- 慶應義塾大学
- 雑誌
- 三田商学研究 (ISSN:0544571X)
- 巻号頁・発行日
- vol.35, no.5, pp.1-21, 1992-12-25
- 被引用文献数
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現在日本で高い業績をあげている企業は,個性的な経営を行い,しかも企業全体が活性化している企業である。社長の個性的な哲学が企業文化に深く浸透し,企業経営を個性化,活性化させる。社長のリーダーシップは,経営理念の明確化,戦略的意思決定の迅速化,執行管理の効率化の過程で発揮される。この経営理念は,社長の哲学と企業文化(=組織文化)との積集合としてあらわされる。本論文は,社長を創業者,2代目,生えぬき,天下りの4つのタイプにわけて,社長の個性,哲学が,そのリーダーシップによって,どのように企業文化に浸透し,どのように個性化,活性化を促進するかを検討する。創業者社長がいて,しかも現在急成長している場合,あるいは生えぬきで,しかも社長になる前に日の当らない部署を遍歴してきたため,企業内に多くの同調者をもっている場合,社長の個性は企業文化に浸透しやすい。逆に2代目社長でエリート経歴をもっている場合,あるいは生えぬき社長で,エリートコースを一直線に歩んできた社長のいる場合は,社長の個性が浸透しにくい。天下り社長の場合は,社員が従来の企業文化が環境変化に適応しなくなっていると思っているケースが多く,敵対買収などを除けば,社長の強力な個性が受け入れられやすく,案外,古い企業文化は修正されやすい。