著者
砂川 武
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学医学部紀要 (ISSN:00756431)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.89-99, 1989-03

ラット肝ミクロゾームにおけるtestosteroneの5α-dihydrotestosteroneへの代謝と4-androsten-3-one-17β-carboxylic acid (17β-C)によるその阻害機序を検討するため,代謝物を誘導体に導くことなしに,メガボアカラムを装着したgas chromatography-mass spectrometry (GC-MS)で分析した。5α-reductaseの安定剤としてNADPHをホモジネート作成時より添加して実験を行なった。肝ミクロゾームでtestosteroneをインキュベートすることにより5α-,5β-水素還元体が得られ,他に17-ケトン体及び水酸化体も検出された。肝ミクロゾーム(雄ラット,9週齢)のtestosterone代謝速度は8μg/mg湿重量/時であった。肝ミクロゾーム中の50μgのtestosteroneは同量の17β-Cの存在により代謝阻害された。モルモット皮膚スライスを含む反応液中のステロイドも同様に分析された。Testosterone,estradiolの主代謝物は対応する17位のケトン体であった。反応系の酸化還元平衡は酸化体生成方向に傾いており,脱本素化速度は両基質とも2μg/g皮膚スライス/日であった。17β-OH化合物のtestosterone,estradiolはそれぞれ対応する17α-OH異性体より酸化されやすかった。Testosterone propionateは加水分解された後,17-ケトン体,5α還元体に代謝された。Ethinylestradiol,methyltestosterone等の17β-OHは酸化されなかった。

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