著者
佐藤 虎男
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. I, 人文科学 (ISSN:03893448)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.161-170, 1975

人間の生活は言語の生活であり、言語の生活は音声生活(音声による生活)と見ることができる。意味の形である音声に表現する生活、音声化生活であると見られる。音声化には地方的傾向がある。個々人の音声化行為は、日本語方言音声を母胎とするそれぞれの地方的傾向に立脚して営まれる。じっさい,そのようにしか音声化しえないのである。筆者はさきに、伊勢大淀(おいず)方言のアクセントをとりあげたが、それはまさに、上述のような音声生活上の地方的傾向を明らかにしようとしたものであった。とくに当該方言は、アクセントの面においていちじるしい特色を見せていることを、文アクセント・語アクセントの両面にわたって報告したのである。もっとも、このアクセント特色は、近隣方言アクセント状態の中において対比的に看取されたものであった。一段と巨視的な観察によれば、じつは、これが、熊野路一帯に見られる特色アクセントと系脈を等しくするものであって、突然変異の異端などではないと考えられるものだったのである。アクセント面においてしかりとすれば、音声生活上の他の面においても、同似の事態がおそらく認められるであろう。表現法や語詞語彙の面においてもまた,熊野路の方言、まぢかくは、志摩地方方言と同系脈の諸事象を種々見いだしうるに違いない。本稿は、そのような意向のもとに、アクセント報告の続報として、当該方言の音声生活一般を、要約的に記述しようとするものである。(表現法その他は後日に譲る。)Once I reported the result of my study of the accent of Ise-Oizu dialect. And this time, I report the phonetical study on the pronuncation of Ise-Oizu dialect. This report says that in this dialect there are various features which are similar to that of the southern part of the Kinki district on the point of the vocal sounds as well as on the accent.

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