著者
中村 真理 車谷浩一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.89-100, 2006-02-15
参考文献数
13

蟻は,局所的情報に基づいて行動する多数の個体間の通信によってコロニー全体で集合現象を示す社会性昆虫として知られる.本稿では初めに,蟻個体の分化とフェロモン信号の空間分布パターン形成を同時に取り扱う蟻コロニーモデルの設計手法を提唱する.この手法を用いて蟻の信号感受性を操作し,蟻個体の行動則に様々な構造を導入すると,コロニー全体の分業調整が可能になりモデルの改造が容易になる.その実例として本稿では次の2 通りのモデルを設計し,そのダイナミクスを分析・再構成する.まず1 番目の応用例として,蟻個体の道標フェロモン感受性を変えて蟻の行動則に新しいルールを順次付加し,3 種類の採餌行動モデル(非誘引・誘引・不応期モデル)を設計する.採餌行動に際し個々の蟻は探索・輸送・動員のサブタスクの1 つに従事する.蟻のサブタスク間配分を調整することにより,3 種類の採餌行動モデルは異なる採餌戦略を示す.なかでも特に蟻が信号感受性を切り替える不応期モデルは,デッドロックを回避する安定な挙動や無駄のない配分調整の結果,つねに最も高い採餌効率を示す.次に2 番目の応用例として,互いに独立な信号を用いてゴミ塚作りと採餌行動の2 つのタスクを同時に遂行する分業モデルを設計する.分業モデルの蟻の行動則では,反応拡散系としてふるまう2 つのタスクモジュールが互いに接続されている.この分業モデルは採餌効率を補償するよう両タスク間で弱い相互作用を示す.An ant colony comprised for many ants communicating by pheromone signals shows collective behavior through signal patterns formed by them. First in this paper, we devise a method for designing ant colony model, and next we apply the method to design following two types of ant colonies, introducing structures into ant's behavior rule by focusing on ant sensitivity to signals. In the first type, we modify design of three foraging models (trail, attraction and desensitization) repeatedly, changing ant sensitivity to recruit pheromone, in order to improve foraging efficiency by regulating allocation of ants to food-search, recruitment and food-carry subtasks. Out of these foraging models, the desensitization model shows the best foraging efficiency as a result of its stable behavior without deadlock and trade-off between food-search and recruitment subtasks. In the second type, we design a task-allocation model between foraging and waste-piling tasks, by coupling the two task modules using independent signals in ant's behavior rule. It shows weak interaction between the two tasks through distributions of desensitized ants in each task, which compensates for the decrease in foraging efficiency.

言及状況

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たぶん http://ci.nii.ac.jp/naid/110004078700 不応期モデル状態にあるのが働いていない働きアリということじゃないかな。 アリはフェロモンで情報交換をしています。 エサを発見すると「エサ発見お祭りモードのフェロモン」を出します。 で、他のアリもえさ場からエサを持ってきます(働いている) ある一定以上になると、フェロモンに対して 不応になるそう ...

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たぶん http://ci.nii.ac.jp/naid/110004078700 不応期モデル状態にあるのが働いていない働きアリということじゃないかな。 アリはフェロモンで情報交換をしています。 エサを発見すると「エサ発見お祭りモードのフェロモン」を出します。 で、他のアリもえさ場からエサを持ってきます(働いている) ある一定以上になると、フェロモンに対して 不応になるそうだ ...

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マリたんだ!この人の発表見たことあるけど度肝抜かれました。ある意味ジョブズを完全に超えてました RT @seee_r 蟻コロニーモデルの設計手法の提案と2つの設計例 http://t.co/xK0KKwnf
蟻コロニー キ━━━イイィィ(。☉ω ⊙。)タァァアア━━━ッッッ!! (pdf) http://t.co/NAb9HbYI
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蟻コロニーモデルの設計手法の提案と2つの設計例(数理生物学, <特集>第11回MPSシンポジウム: 複雑系の科学とその応用) http://t.co/I2YnIl3M 

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