- 著者
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小椋 純一
- 出版者
- 社団法人日本造園学会
- 雑誌
- 造園雑誌 (ISSN:03877248)
- 巻号頁・発行日
- vol.56, no.5, pp.25-30, 1993-03-24
- 被引用文献数
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3
9
古い時代の植生景観については不明な部分が少なくないが,明治時代になると本格的な地形図や詳しい地理的記録など,かつての植生景観を考える上での良い資料が多く残されるようになる。本研究は,今から百年余り前の明治中期に測図された迅速図の植生に関する不明部分やその精度などを,その原図やそれと同時に作成された偵察録などをもとに考察することを中心にして,その頃の房総丘陵の植生景観を明らかにしようとしたものである。その結果,その地の当時の植生景観は,森林とともに草地的なものの割合が大きく,また,森林は松林や楢類などからなる低林が多く,高木の大面積の森林の大部分は官林であったなど,今日とは大きく異なるものであった。