- 著者
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朝比奈 正二郎
- 出版者
- 国立科学博物館
- 雑誌
- 国立科学博物館専報 (ISSN:00824755)
- 巻号頁・発行日
- vol.7, pp.145-"156-2", 1974
世界の熱帯および亜熱帯の洞窟から, 興味深いゴキブリ類が数多く知られている。わが国からは, このようなゴキブリ類は, 従前まったく見つかっていなかったのであるが, 1958年以降, 主として上野俊一博士の努力によって, 琉球列島の島じまの洞窟から, 真洞窟性ゴキブリであるホラアナゴキブリ科Nocticolidaeの種類と, モリゴキブリ属Symploceのうちおそらく好洞窟性と考えられる種類の標本が得られるにいたった。ここに, 成虫が確認されたものについて次のような名称を与え, 記載を行なった。I. ホラアナゴキブリ科Nocticolidae 1a. ホラアナゴキブリ(上野, 1964) Nocticola uenoi nov. (沖永良部島, 与論島, 沖繩本島) 1b. キカイホラアナゴキブリ(新称) Nocticola uenoi kikaiensis nov. (喜界島) 1c. ミヤコホラアナゴキブリ(新称) Nocticola uenoi miyakoensis nov. (宮古島) II. チャバネゴキブリ科Blattellidae 2. エラブモリゴキブリ(新称) Symploce okinoerabuensis nov. (沖永良部島) 3. ミヤコモリゴキブリ(新称) Symploce miyakoensis nov. (宮古島)なお, モリゴキブリ属Symploceのものと思われる幼虫が, 喜界島, 与論島, 沖繩本島, 久米島および石垣島より得られた。また, ツチゴキブリ属Margatteaと思われる1個の幼虫も, 沖永良部島の洞窟より得られている。