- 著者
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岡部 悦子
- 出版者
- 長崎外国語大学
- 雑誌
- 長崎外大論叢 (ISSN:13464981)
- 巻号頁・発行日
- vol.8, pp.37-48, 2004-12-30
本稿では、中上級日本語学習者に対する、効果的な口頭表現能力の指導方法を考えるための基礎的な研究として、主要な中上級日本語教科書10冊における口頭表現活動の分析を行った。その結果、口頭表現活動の種類については、(1)「説明する」、「意見を述べる」、「話し合う」、という自由選択練習については全教科書で共通して採用されているが、(2)「発表・スピーチ」といった一定の談話形式を学ぶ活動や、「ロールプレイ」、「アンケート」、「インタビュー」といった、コミュニケーション形式の活動は教科書によって採用に差がみられることがわかった。このことから中上級レベルの日本語教科書では、概ねどの教科書の学習活動を通じても一般的に「説明する」、「意見を述べる」という学習機会はあるものの、発表やスピーチといった一定の談話形式や、他者を想定した実質的なコミュニケーション活動については、教科書によって学習機会に差があることを指摘するとともに、学習者の学習目標に応じて適切な教材を選ぶことの必要性について論じた。