- 著者
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細田 亜津子
- 出版者
- 長崎国際大学
- 雑誌
- 長崎国際大学論叢 (ISSN:13464094)
- 巻号頁・発行日
- vol.5, pp.83-95, 2005-01-31
トラジャ社会は農村社会である。就労者の約80%が農業に従事しており、その他の就労者も兼業が多い。しかし、水田面積は全面積の約10%であり、二期作と棚田での収穫という厳しい現実である。水田形態は、Uma Mana、Uma Tongkonanと呼ぶ一族の共有田と個人所有とがある。共有田の収獲物は儀式など公的儀礼のために使用される。儀式での恩恵は一般大衆にも及び社会的役割を持つ水田である。また、地主と小作の関係は、先祖代々からの関係が多い。土地を所有しない小作は、他地域への出稼ぎを行う。伝統的な収穫物の分配は地主と小作は50%-50%が多く、第二期作は30%-70%になる。この地主-小作の元で働く農夫は、Ikatという稲束の単位により、稲刈りの労働に比例して報酬をうけとる。田植えについては、同じ報酬を受け取る。このように平等性と競争性を取り人れた社会である。一方、農村社会の諸規則は、儀礼との関連が強く、分配や遺産相続に影響する事もトラジャの特色である。