著者
細田 亜津子 柳原 透 後藤 始 MALAMASSAM Daud TANDO Samuel
出版者
長崎国際大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究は、外部要因による紛争後の経済活動、社会関係、伝統文化がどのように変化するかその過程で受ける影響および人々の適応についての研究である。インドネシア共和国南スラウェシ州トラジャ族は伝統的慣習、儀礼、建築学など多層的な学際的意味を有している。この人々が移住先での紛争後の新居住地の生活は簡素で経済活動はわずかに始まったばかりであった。新居住地では、小学校での教育現場や隣接した地域の相互扶助が認められ宗教間の紛争後は新しい地域づくりの萌芽があった。トラジャ族は移住先でのその地の文化に適応しつつトラジャ族としての伝統的確執は維持され新生活形態の構築が始まっていた。
著者
細田 亜津子 左海 冬彦 左海 冬彦 細田 亜津子 高橋 彰夫
出版者
長崎国際大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

研究成果の概要(和文):「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の一つである五島列島は、美しい景観と文化的景観を有している。しかし島の過疎化と高齢化は進んでいる。今後世界遺産登録後に予想される交流人口の増加は、この問題の解決になる一方、保全については島の人たちが将来担っていく必要がある。そのため島の異分野の老若男女の人々が交流しネットワークを作ることができた。島の景観と世界遺産を保護しながら自分たちで島の将来と町づくりを担っていく基礎を、島と島の地域間、人と人が協力してつくることができた。
著者
細田 亜津子 Atsuko HOSODA
出版者
長崎国際大学
雑誌
長崎国際大学論叢 (ISSN:13464094)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.161-172, 2013

東日本大震災から一年余経過し、被災文化財の状況が解明されてきた。国指定および選定、県指定、登録されている文化財の被災状況は744件であった。これは、未指定文化財と東京電力福島第一原子力発電所の事故による立ち入り制限の文化財をのぞくものである。また、地形の変化による遺跡などへの影響についてはまだ解明されていない。1995年の阪神淡路大震災の被災文化財の調査と修復の経験は、東日本大震災で文化財レスキュー事業、文化財ドクター派遣事業などとして施行された。行政と民間のレスキューは阪神・淡路大震災の経験をいかし、流出した多くの古文書、資料、民俗文化財などを救出した。しかしこれまでとは比較にならない震災の規模で、多くの文化財を失った。この経験は、平時の文化財所有調査を継続して行っていくこと、データ化しそれを多くの機関に保管することなどとして提起されている。この経験と蓄積は、ハーグ条約で文化財を尊重し、緊急時の文化財保存の定義に通じるものである。世界の紛争、テロ、自然災害などに対処するためハーグ条約第二議定書が採択された。日本は平成19年(2007年)に締約した。条約で重視しているのは平時の文化財保存、緊急避難の準備などである。東日本大震災の被災文化財救出の経験は、ハーグ条約に合致し、世界の指針となり、継続して実行することが被災地の復興にもつながるのである。
著者
細田 亜津子 Atsuko HOSODA
出版者
長崎国際大学
雑誌
長崎国際大学論叢 = Nagasaki International University Review (ISSN:13464094)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.83-95, 2005-01

トラジャ社会は農村社会である。就労者の約80%が農業に従事しており、その他の就労者も兼業が多い。しかし、水田面積は全面積の約10%であり、二期作と棚田での収穫という厳しい現実である。水田形態は、Uma Mana、Uma Tongkonan と呼ぶ一族の共有田と個人所有とがある。共有田の収穫物は儀式など公的儀礼のために使用される。儀式での恩恵は一般大衆にも及び社会的役割を持つ水田である。また、地主と小作の関係は、先祖代々からの関係が多い。土地を所有しない小作は、他地域への出稼ぎを行う。伝統的な収穫物の分配は地主と小作は50%―50%が多く、第二期作は30%―70%になる。この地主―小作の元で働く農夫は、Ikat という稲束の単位により、稲刈りの労働に比例して報酬をうけとる。田植えについては、同じ報酬を受け取る。このように平等性と競争性を取り入れた社会である。一方、農村社会の諸規則は、儀礼との関連が強く、分配や遺産相続に影響する事もトラジャの特色である。
著者
細田 亜津子
出版者
長崎国際大学
雑誌
長崎国際大学論叢 (ISSN:13464094)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.119-126, 2002-01-31

インドネシア・南スラウェシ州タナ・トラジャ県において,伝統的家屋=トンコナンの修復保存事業を行った。文化・習慣・社会背景が違う文化財保存の国際援助はそれらの理解,学習の繰り返しである。援助する側,援助される側はそれぞれの主張をする。地域性は独自性を自主的に発揮する場合は,事業を成功させる。しかし,地域性の押し付けば,文化的強制となり,援助展開をスケールの小さいものにしてしまう。本来は,一地方から起こった支援活動は国際援助として十分評価,活用,展開できるのである。
著者
細田 亜津子
出版者
長崎国際大学
雑誌
長崎国際大学論叢 (ISSN:13464094)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.83-95, 2005-01-31

トラジャ社会は農村社会である。就労者の約80%が農業に従事しており、その他の就労者も兼業が多い。しかし、水田面積は全面積の約10%であり、二期作と棚田での収穫という厳しい現実である。水田形態は、Uma Mana、Uma Tongkonanと呼ぶ一族の共有田と個人所有とがある。共有田の収獲物は儀式など公的儀礼のために使用される。儀式での恩恵は一般大衆にも及び社会的役割を持つ水田である。また、地主と小作の関係は、先祖代々からの関係が多い。土地を所有しない小作は、他地域への出稼ぎを行う。伝統的な収穫物の分配は地主と小作は50%-50%が多く、第二期作は30%-70%になる。この地主-小作の元で働く農夫は、Ikatという稲束の単位により、稲刈りの労働に比例して報酬をうけとる。田植えについては、同じ報酬を受け取る。このように平等性と競争性を取り人れた社会である。一方、農村社会の諸規則は、儀礼との関連が強く、分配や遺産相続に影響する事もトラジャの特色である。