著者
梅田 正博
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学医学部紀要 (ISSN:00756431)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.45-62, 1987-03
被引用文献数
8

ハイドロキシアパタイトセラミックス(HAP)の人工骨としての有用性を検討するため,HAPの家兎頸骨内移植実験,脱灰骨基質(DMBM)およびHAPのラット皮下混合移植実験を行った。頸骨内移植実験においては,移植後早期よりHAP表面には骨芽細胞の配列がみられ,HAPを核として骨形成は進行し,移植部全域に新生骨形成が認められたが,90日後においても新生骨に吸収像は認められなかった。一方,骨削除のみの対照群においては,骨削除部を中心に活発な骨形成が生じるが,骨髄腔内の新生骨は吸収され. 90日後ではほぼ術前の状態にもどっでいた。皮下移植実験においては.DMBM単独移植では,良好な軟骨,骨誘導がみられたが,HAPとDMBMとを混合すると,軟骨,骨形成は低下することが認められ,一方,新生骨とHAPとの直接の接触もみられなかった。以上より,HAPは骨伝導能を有し,口腔外科領域における人工骨材料として有用性が高いものと考えられるが,その適用範囲に関しては,今後さらに検討する必要があると思われた。

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