著者
塚田 和美 伊藤 順一郎 大島 巌 鈴木 丈
出版者
千葉大学
雑誌
千葉医学雑誌 (ISSN:03035476)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.67-73, 2000-04-01

心理教育が精神分裂病者の家族の感情表出(EE)を低下させ,再発を予防することが,欧米各国で報告されている。我が国の現状に即した心理教育が,同様の効果を持つかどうかを検証することは有意義だと思われる。そこで国府台病院に入院した85例の精神分裂病者とその家族を無作為に介入群と対照群に振り分け,心理教育の効果を検定した。すべての重要な家族員は入院直後,退院直後及び退院9ヶ月後にEEを測定され,介入群の家族は毎月1回,計10回の心理教育を受けた。その結果,介入群の退院後9ヶ月までの再発率は,対照群に比して有意に低下した。また,再発しやすいハイリスクグループである高EEのみの検定でも,同様の結果となった。一方,EEの下位尺度である批判的言辞(CCs)と情緒的巻き込まれすぎ(EOI)については,高CCsが両群とも時間の経過とともに有意に低下したにも関わらず,高EOIは介入を受けなければ低下しないことが明らかになった。これにより,国府台モデルの心理教育はEEの低下と再発予防に有効であることが証明された。

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こんな論文どうですか? 心理教育が精神分裂病の予後と家族の感情表出に及ぼす影響(塚田和美ほか),2000 http://id.CiNii.jp/TfVyL

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