著者
伊藤 順一郎 福井 里江 坂田 増弘 山口 創生 種田 綾乃 相川 章子 伊佐 猛 市川 亮 伊藤 明美 大島 真弓 岡本 和子 黒木 紀子 坂本 麻依 佐竹 直子 佐藤 由美子 澤田 優美子 関根 理絵 富沢 明美 友保 快児 二宮 史織 久永 文恵 藤田 英親 松長 麻美 松谷 光太郎 村木 美香
出版者
国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究の目的は、共同意志決定 (SDM)を促進するツール(SHARE)を用いた包括的なSDMシステムの構築とその効果検証であった。SHAREは利用者のリカバリーゴール(希望する生活の実現に向けた目標)や自身の精神的健康にとって大切なこと、自身の状態を適切に医師に伝えることに焦点を当てたPCソフトウェアである。利用者は診察前にピアスタッフのサポートを受けながら自身の情報をSHAREに入力した。医師はSHAREの情報をもとに診察を進め、診察の最後にSDMを実施する。このSDMシステムは、臨床的なアウトカムに影響を及ぼすことはなかったが、患者と医師のコミュニケーションや関係性の向上に効果を示した。
著者
塚田 和美 伊藤 順一郎 大島 巌 鈴木 丈
出版者
千葉大学
雑誌
千葉医学雑誌 (ISSN:03035476)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.67-73, 2000-04-01

心理教育が精神分裂病者の家族の感情表出(EE)を低下させ,再発を予防することが,欧米各国で報告されている。我が国の現状に即した心理教育が,同様の効果を持つかどうかを検証することは有意義だと思われる。そこで国府台病院に入院した85例の精神分裂病者とその家族を無作為に介入群と対照群に振り分け,心理教育の効果を検定した。すべての重要な家族員は入院直後,退院直後及び退院9ヶ月後にEEを測定され,介入群の家族は毎月1回,計10回の心理教育を受けた。その結果,介入群の退院後9ヶ月までの再発率は,対照群に比して有意に低下した。また,再発しやすいハイリスクグループである高EEのみの検定でも,同様の結果となった。一方,EEの下位尺度である批判的言辞(CCs)と情緒的巻き込まれすぎ(EOI)については,高CCsが両群とも時間の経過とともに有意に低下したにも関わらず,高EOIは介入を受けなければ低下しないことが明らかになった。これにより,国府台モデルの心理教育はEEの低下と再発予防に有効であることが証明された。