- 著者
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進士 五十八
- 出版者
- 社団法人日本造園学会
- 雑誌
- 造園雑誌 (ISSN:03877248)
- 巻号頁・発行日
- vol.50, no.2, pp.77-88, 1986-12-15
- 被引用文献数
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庭園はそれ自体で完結した構成から徐々に外界との交渉,即ち社会性を付与してゆく。外界との接続は,眺望行為による。その特殊な手法が日本庭園の特質のひとつ,「借景」である。借景は究極的に園内景観を無にし対象景を対比的にいけどる構成技法だが,その基底には造景,修景・借景の3段階で整理できる日本人の自然への態度(=自然観)が存在すると考えられる。本論は借景庭園の景観構造を明らかにし,借景技法が庭園を無にすることで自然を活かす自然観のあらわれであることを考察する。