著者
渡辺 達三
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.193-208, 1992-12-25

松平定信は致仕後,自らを楽翁と号し浴恩園の整備を進め,そこにハスの品種を多数集め,それを観賞し,蓮譜『清香譜』を完成させている。それまでは,ハスの品種観念も曖昧で,品種数も数種とり上げられているたすぎなかったが,『清香譜』では九十余種記載されていたといわれ,蓮譜史上,画期的な意義を有する。しかし,その『清香譜』は戦後,散逸し,その実像は明らかでない。また,翁のハスの観賞についても,その実態についてはほとんど知られていない。そこで,本稿では,楽翁のハスの観賞の態度・あり様について,また,その大きな事績である『清香譜』について考察するものである。

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