- 著者
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林田 理惠
- 出版者
- 大阪外国語大学
- 雑誌
- 大阪外国語大学論集 (ISSN:09166637)
- 巻号頁・発行日
- vol.7, pp.1-25, 1992-09-16
笑い声、泣き声、叫び声、呻き声、話し声、あくび、いびき、くしゃみ……一言で人が発する音と言っても千差万別だ。その千差万別の音をどのように表現し分けるか--それはその言語の担い手である民族の歴史と文化に多くがささえられている。『ロシア語の音の世界(1)』(論集第5号(1991年)所収)では、ロシア語の音響意味場の全体的な構造分析と、小意味場のひとつである動物音響語の具体的分析、それらの語と、対応する日本語の語群との対照分析を試みた。本論文では以上の作業をさらに展開して、音響語の中でも最も重要な位置を占める、ロシア語の人間音響語(特に動詞を中心に)の小意味場の構造分析、さらに対応する日本語の人間音響語との(paradigmatic、syntagmatic両面からみた)対照分析を試みる。人間音警語は、他の意味場(「心の動き」「ことば」「からだ」等)との関わりが非常に深い。その関わりがパラダイムのみならず、連辞面でどのような表われかたをするかに特に注目したい。