著者
藤原 成一
出版者
日本大学
雑誌
日本大学芸術学部紀要 (ISSN:03855910)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.67-81, 2004-07-30

日本の住空間は「締」「縁」「間」「奥」「離」の五つの基本原理によって形成されてきた。これら五つのキーワードは空間構成の原理であるばかりでなく、文芸や芸術・芸能にあっても重要な思考枠であり、かつ作法・方法でありつづけてきた。日本人の発想、表現方法はこの五つの原理で明快に解明しうる、という仮説の提起である。本稿はそのうち「奥」という概念をとりあげ、奥とか奥行きという感性や思考がいかに深く日本人にしみ込んでいるかを、主として住空間の面から実証しようとするものである。イエにおけるクチからオクヘの構造、社寺にみる下-中-上という奥行き構成、村落や都市におけるオモテからオクヘの空間原理など、一貫するのは奥志向であった。その感性と思考はものの見方、生活のしかたから文化全般にまで通底しており、奥の思想は日本文化の基礎であった。奥を大事とする考えや感性に日本美学の本質と独創があった。

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CiNii 論文 - 奥 : 日本空間の基本原理 https://t.co/8OveLfGt0x
距離でなく属性のグラデーションでした。すみません https://t.co/ka0gXpEdSl
CiNii Articles -  Inner Room : The Basic Principle of Japanese Space http://t.co/Ddp0TXsg #CiNii
ググったら出てきた。確かこんな話だったわ CiNii 論文 - 奥 : 日本空間の基本原理 http://ci.nii.ac.jp/naid/110004679741

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