著者
小長谷 英代
出版者
県立長崎シーボルト大学
雑誌
県立長崎シーボルト大学国際情報学部紀要 (ISSN:13466372)
巻号頁・発行日
no.4, pp.171-177, 2003

「伝統」(tradition)は米国のフォークロア研究で主要概念め一つを成してきたが, ポストモダン的視点において過去の民俗(folk)の表象に内省的議論が高まる1980年代以降, 「伝統」の意味について根本的な見直しがなされている。小論では民俗の概念と関連して「伝統」がかつてどう定義されてきたのかを明確にするため, 米国にフォークロア研究が確立していく19世紀末に遡ってその意味を探り, その後1960年代末の領域の転換期に至るまでの過程に, どう変遷してきたかを辿る。特に「民間伝承」(lore), 「正典」(canon), 「プロセス」(process), 文化(culture), パフォーマンス(performance)といった「伝統」の意味付けに強い影響力を及ぼしてきた研究者, ウィリアム・W・ニューウェル, フランシス・L・アトリー, ウィリアム・バスコム, ケネス・S・ゴールドスティン, アラン・ダンディス, リチャード・バウマン, ロジャー・D・エイブラハムズの論考に焦点を置き, それぞれの具体的な捉え方を探る。

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