著者
庄山 茂子 栃原 裕 川口 順子
出版者
県立長崎シーボルト大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

虹彩色の異なる2群間における色の見えの差異を明らかにするために、虹彩色が青-緑系の自人女性と茶系の黄色人女性を対象に、100 hue testを用いて照度500lxと30lxの2条件下で色彩弁別能力を測定し比較した。その結果、次のような結果が得られた。総偏差点を比較すると、30lxでは両群間に差は認められなかったが、500lxでは両群間に差が認められ、茶系群の色彩弁別能力が高かった。500lxは、茶系群にとっては弁別しやすい照度であったと推察された。青-緑系群は、照度500lxで緑(G)〜青紫(PB)領域にかけて、茶系群より弁別しにくく、明所では青(B)領域の比視感度が下がる現象がみられた。両群ともに、赤(R)を中心とした領域は30lxの弁別能力が低く、照度間に有意差がみられた。茶系群は、青(B)領域で照度間に有意差がみられ、30lxの弁別能力が低かった。虹彩色の異なる2群間で、異なる見えの現象が認められたことから今後、様々な虹彩色の違いにも着目したユニバーサルデザインの必要性が示唆された。さらに、サングラスの使用頻度別に色彩弁別能力をみると、茶系群では、500lx、30lxの両条件下でサングラスを使用していない群の総偏差点は、時々あるいは頻繁に使用する群よりわずかに高かった。青-緑系群では、500lxで使用していない群の総偏差点と時々あるいは頻繁に使用する群の総偏差点との間に有意差が認められ、使用していない群の総偏差点は高く色彩弁別能力が劣っていた。虹彩色が青-緑系でサングラスを使用しない群は、紫外線の影響を受けているのではないかと推察された。
著者
クリーガー ダニエル
出版者
県立長崎シーボルト大学
雑誌
県立長崎シーボルト大学国際情報学部紀要 (ISSN:13466372)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.141-150, 2003-12-20

本研究はデータを主導とし、主張の真実性の度合いを拡張することによって、話者がどのように誇張するかを検証する。データは主として自然な発言から収集されたものであるが, 話者の尺度上での推移が誇張の機能に応じた形で順序づけられ, その誇張の機能はある状況の強調と誤説明から成ることを示している。またデータは誇張機能の区別に加え, 誇張が専らある状況の質的または量的観点に適合し, その両観点が尺度に対して相似的に作用することを示す。
著者
箕輪 憲吾
出版者
県立長崎シーボルト大学
雑誌
県立長崎シーボルト大学国際情報学部紀要 (ISSN:13466372)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.67-74, 2001-12-20

The new rule of 25-point rally scoring system was adopted since 1999. The purpose of this study was to clarify the influence of the 25-point rally scoring system on reception, setting tactics and attack. Samples were taken to observe from 184 sets played in the 1999 Spring Kyushu League of Intercollegiate Women's Volleyball. Main findings were as follows : 1)It was clarified that the results of serve-reception, attack-reception and free-ball-reception influence the outcome of the game. 2)It was clarified that the results of setting tactics after serve-reception and combination attack with position changing by setter influence the outcome of the game. 3)It was clarified that the results of attack after serve-reception and attack after attack-reception influence the outcome of the game. 4)It was clarified that attack after serve-reception was the most important of all the attacks in the 25-point rally scoring system game.
著者
竹部 隆昌
出版者
県立長崎シーボルト大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

本研究の命題は、九〜十一世紀というビザンツ帝国が南イタリアの領土を回復した時代に、ビザンツ=西方交渉史が如何に展開したかを考察する事にある。先行研究は、この時代についてはオットー朝三代について主に皇帝称号を巡る外交問題を扱ってきた。今回の研究成果は、先行研究が従来無視・軽視してきた時期、カロリング朝衰退からオットーの出現までの群雄割拠状態の時期に焦点を当て、外交ではなくイタリア半島情勢の歴史的展開を取り扱った。この時期のイタリア史については、教皇が世俗権力者の傀儡と堕す教皇座の最悪の時代とされる。しかし他方では、同時期にはローマ教会とラヴェンナ教会の合同が成り、クリュニー修道会運動が導入されるという、ローマ教会にとっては逆に成長・刷新期に当たるという矛盾した現象が見られる。本研究は、教皇を傀儡化した勢力が例外無く親ビザンツ政策を採っていた点に着目し、前記の矛盾現象の裏には、ビザンツ帝国のイタリア半島での勢力回復があるのではないかという着想のもとに考察をおこなった。対イスラムの目的で艦隊提供を受けた事で、当時のローマは事実上ビザンツの宗主権下に復帰していた。教皇領は理念上は中世イタリア王国の領土でもあったから、教皇領は二重の宗主権下にあった事になるが、当時北部・中部イタリアの諸勢力は覇権争いの中で例外無くビザンツの援助や同盟を求めていた事を考えると、二つの宗主権の内ではビザンツが優勢であった。その為、彼らがローマを支配する場合は、ビザンツの許容できる形をとる必要が生じた。教皇の傀儡化は、この要件を満たす一種の妥協の産物であったし、また同様の理由で表面的にはローマ教会のパトロンの姿を装う必要があったのである。つまり教皇座の失墜とローマ教会の発展という相反する同時代現象には、ビザンツ帝国の南イタリア再征服という同時代現象の副産物という側面を指摘する事ができるのである。
著者
中村 登志哉
出版者
県立長崎シーボルト大学
雑誌
県立長崎シーボルト大学国際情報学部紀要 (ISSN:13466372)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.199-212, 2005-12-20

The triangular relationship between foreign and security policy, mass media and public opinion has increasingly drawn attention of scholars; Yet few research has been conducted in this regard. This study thus discusses Japanese foreign and security policy making process in the wake of the Gulf Crisis/War in 1990/91, in particular the miscarriage of the United Nations Peace Cooperation Bill. The study examines three issues: what did Japanese mass media consider newsworthy in the wake of the Gulf Crisis? In contrast, what did overseas media report on the matter? How did Japanese media influence public opinion as well as foreign and security policy making? Finally, it aims to identify the interrelationships between foreign and security policy making process, mass media in Japan and overseas and public opinion.
著者
河野 健一 KOHNO Kenichi
出版者
県立長崎シーボルト大学
雑誌
県立長崎シーボルト大学国際情報学部紀要 (ISSN:13466372)
巻号頁・発行日
no.2, 2001-12-20

国立情報学研究所により電子化
著者
松井 修視 MATSUI Shuji
出版者
県立長崎シーボルト大学
雑誌
県立長崎シーボルト大学国際情報学部紀要 (ISSN:13466372)
巻号頁・発行日
no.1, 2000-12-20

*この判例批評は、「大分県監査委員公文書一部非公開決定処分取消等請求事件[大分地裁平成11年5月31日判決(平成9年(行ウ)第20号、公文書一部非公開決定処分取消等請求事件・判例集未登載)]の提起するいくつかの問題点に対する意見書として、控訴人(本件第1審の原告)の要請を受けて、2000年3月17日付で福岡高等裁判所に提出したもの(甲第18号証)に、【事案の概要】と【判決要旨】を追加して、発表するものである。紙面の関係上、今回は前半部分を「『行政執行情報』と監査請求に係る公文書の公開(1)」として掲載する。*【事案の概要】、【判決の要旨】、【意見】の「1.大分県情報公開条例第9条7号の行政執行情報の解釈のあり方」まで本号。【意見】の「2.監査請求における審理過程の収集書類、聴取内容などの第9条7号該当性についての判断のあり方」以下、次号予定。*国立情報学研究所より電子化
著者
小長谷 英代
出版者
県立長崎シーボルト大学
雑誌
県立長崎シーボルト大学国際情報学部紀要 (ISSN:13466372)
巻号頁・発行日
no.4, pp.171-177, 2003

「伝統」(tradition)は米国のフォークロア研究で主要概念め一つを成してきたが, ポストモダン的視点において過去の民俗(folk)の表象に内省的議論が高まる1980年代以降, 「伝統」の意味について根本的な見直しがなされている。小論では民俗の概念と関連して「伝統」がかつてどう定義されてきたのかを明確にするため, 米国にフォークロア研究が確立していく19世紀末に遡ってその意味を探り, その後1960年代末の領域の転換期に至るまでの過程に, どう変遷してきたかを辿る。特に「民間伝承」(lore), 「正典」(canon), 「プロセス」(process), 文化(culture), パフォーマンス(performance)といった「伝統」の意味付けに強い影響力を及ぼしてきた研究者, ウィリアム・W・ニューウェル, フランシス・L・アトリー, ウィリアム・バスコム, ケネス・S・ゴールドスティン, アラン・ダンディス, リチャード・バウマン, ロジャー・D・エイブラハムズの論考に焦点を置き, それぞれの具体的な捉え方を探る。
著者
山王丸 靖子 松原 誠史 武藤 慶子
出版者
県立長崎シーボルト大学
雑誌
県立長崎シーボルト大学看護栄養学部紀要 (ISSN:13466380)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.11-21, 2004-02
被引用文献数
1

男子学生の自覚症状の実態を把握し、生活習慣および食生活との関連を明らかにすることを目的とした。平成14年6月下旬にN大学の男子学生とS大学の男子学生139名(平均年齢18.9±1.4歳)を調査対象として、疲労自覚症状調査、生活・食生活状況調査、食事調査を行った。調査結果は以下のとおりである。1)本調査の有効回答率は97.9%であった。平均BMIは21.7であり、肥満傾向はみられなかった。2)身体自覚症状は「ねむけ」を訴える者が全体の72%を占めた。「ねむけ」得点は、他の因子と比較して有意に高値を示し、次に「集中思考困難」得点が高かった。3)全体の82%がアパートで暮らす単身者であった。日常生活状況では、「自覚的健康状態」が悪い者、「ストレス」を感じている者は疲労度が高い傾向があり、「適正体重の把握」が出来ている者、「運動習慣」がある者は疲労度が低い傾向であった。4)食生活状況では、「健康に関する情報収集」・「栄養成分表示の利用」をしている者、「適切な食事の知識」を持っている者の疲労度が低い傾向であり、「間食・夜食の頻度」が多い者の疲労度が高い傾向であった。5)栄養素摂取は、疲労度が高い対象者の「鉄」と「ビタミンB_1」摂取量が有意に低値を示した。6)疲労度が低い群は、多種類の食品を摂取している傾向がみられた。これらの結果から、健康生活上好ましいと考えられる行動を取っているものは、疲労度が低く、健康に関する情報の有無が疲労度に影響を及ぼしていることが明らかになった。今後は、大学においても健康維持・増進のために、健康に対する意識向上および知識供給を図ることが必要であると考える。
著者
小長谷 英代
出版者
県立長崎シーボルト大学
雑誌
県立長崎シーボルト大学国際情報学部紀要 (ISSN:13466372)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.159-170, 2003-12-20

米国カリフォルニア南部の日系アメリカ人にとって, ロスアンジェルスのリトルトーキョーは19世紀末日本人移民一世がその地に生活の拠点を築いて以来, 日系人の社会, 文化, 経済の中心地であった。第二次世界大戦の日系人強制収容は, 余儀なく住民のリトルトーキョーからの立ち退きを強い, 戦前のコミュニティの生活を解体するが, 1960年代末以降, 公民権運動の高揚の中で, アフリカ系アメリカ人を始めとして, 少数派のエスニックグループがコミュニティの復興に立ち上がると, 日系アメリカ人の間でも三世の若い世代を中心にコミュニティの再建運動が始まった。小論では, 筆者のフィールドワークに基づいて, 戦後日系人が正月や餅つき等, 祝祭や食といった民俗伝統の復元, オーラルヒストリーの記録を通してリトルトーキョーを再建する過程を辿ることによつて, 日系人コミュニティを想像する場, 集合的記憶(collective memory)を表象する場, 国家的歴史に対して日系人の歴史を構築する場, としてのリトルトーキョーの位置づけと役割を探る。
著者
正木 基文
出版者
県立長崎シーボルト大学
雑誌
県立長崎シーボルト大学看護栄養学部紀要 (ISSN:13466380)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.1-9, 2005

栄養疫学の歴史的展開、今日のトピックス、今後の課題について文献をもとにレビューした。さらに管理栄養士を養成するためないし栄養科学の研究者を育てる教育として、栄養疫学をどう捉えまた何に重点を置くべきかを指摘した。歴史的展開として、個人の栄養素摂取と疾病との関連から集団の健康状態を規定する食事因子へと概念と対象および調査・解析手法の変遷について述べた。今日のトピックスとしては、がんと虚血性心疾患の予防における栄養素および食事因子の役割について、最新情報をもとに概説した。がんと食事との関連についての研究結果が時代により異なっている現状を指摘し、その背景と思われる事項および混乱を避ける方策について概説した。学部および大学院における栄養疫学の教育については、学生に生物統計の基礎知識が不足している現状から今後のカリキュラムのありかたについて言及した。