- 著者
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高橋 正臣
- 出版者
- 大分県立芸術文化短期大学
- 雑誌
- 研究紀要 (ISSN:02869756)
- 巻号頁・発行日
- no.19, pp.1-13, 1982-03-31
本研究は「人格形成を規定する要因分析」の一環であり,今回は家庭における文化的環境要因の変移が,性格形成にどのような影響を与えるかを明らかにしようとした。文化的環境要因の変移を,「活字文化」より「映像文化」への転換とし,Y-G検査の結果(特にR因子)と関連して調査したところ,次の点が明らかとなった。1.映像文化のもつその特性上から予想したとおり,「R因子」の得点上昇がみられ,しかも上昇の度合いは,造型映像刺激が美術専攻者より少ない音楽専攻者の方が大きかった。2.予想しなかった性格特性因子(I, G, R, S因子)の得点に時代的変化が大きくみられたが,これが直ちに文化的要因の変化によるかどうか,もしそうであるとすればどの程度の影響度であるかは,今回の資料だけでは即断できないが,このことは時代的変化の度合いの余りの大きさからみて,今後の重要な研究課題である。