- 著者
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若林 理恵子
澤田 愛子
- 出版者
- 富山大学
- 雑誌
- 富山医科薬科大学看護学会誌 (ISSN:13441434)
- 巻号頁・発行日
- vol.5, no.2, pp.41-54, 2004-09
看護師と家族が聞いた「臨死患者のことば」の主なものを明らかにし,その内容を分析するために,インタビュー調査を行った.インタビュー内容をnarrative researchの手法で分析した結果,看護師が聞いた「臨死患者のことば」の内容は,【間近に迫った死の意識】【あきらめ】【人生の振り返り】【家族関係への後悔】【家族を遺す不安】【感謝】【心身の苦痛】【死の迎え方の希望】【死後の世界】【墓参りへの希望】【神への祈り】の11のカテゴリーに分類できた.また,家族が聞いた「臨死患者のことば」の内容は,【家族を遺す不安】【配偶者への愛】【感謝】【家族への励まし】【心身の苦痛】【あきらめ】【怒り】【死後の世界】【自然との触れ合い】の9のカテゴリーに分類できた.本研究より,「臨死患者のことば」には,重要なメッセージや要望が内包されていることが明らかになった.看護支援として,看護師は「臨死患者のことば」の重要性を深く認識し,家族へも患者の「ことば」に傾注するように指導する必要がある.そして,看護師と家族が患者の「ことば」を共有し,「ことば」に具体的な要望が含まれている場合は,両者が協力して患者の要望をできる限り満たすことが重要である.