- 著者
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福田 信二
横井 政人
小杉 清
- 出版者
- 千葉大学
- 雑誌
- 千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
- 巻号頁・発行日
- vol.18, pp.29-33, 1970-12-31
1.高温下で花芽分化し,低温に会って開花の促進される花木の中,移植運搬の困難なウメ(新冬至),モモ(矢口),サクラ(早生彼岸)について,高冷地における促成用花木栽培の可能性を知ろうとして,この実験を行なった.なお比較のためにツツジ(紅霧島)と,ユキヤナギ(蒲田早生)を加えた.2.高冷地は日光市小倉山(標高610m)を,比較地は鹿沼市栃窪(標高140m)を選んだ.3.実験は1968年6月〜1969年2月の間に行ない,両地区に栽植されている前記の花木から,7日ごとにそれぞれ10〜15個体の試料を採集して,70%アルコールに浸漬貯蔵後,剥皮法によって花芽の状態を検鏡した.4.高温下で花芽分化する花木の花芽分化期は,高冷地で遅れたが,花芽の発育はかえって急速に進み,標高の低い地方のものに追い着くか,あるいは追い越した.5.このことから,これらの花木の高冷地における促成栽培も可能であることがわかった.6.低温下で花芽の分化発育が促進されるユキヤナギについては,既に行なわれた実験結果のとおりであり,高冷地における促成用花木栽培の可能性が再確認された.