著者
〓 世宝 横井 政人 斎藤 規夫 上田 善弘 鴫原 淳 本田 利夫
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.13-17, 1995-03-30

本研究はこれまでAcerで報告されていないcyanidinn 3-O-[2"-O-(β-D-xylopyranosyl)-6"-O-(α-L-rhamnopyranosyl)-β-D-glucopyranoside] (通称cyanidin 3-xylosylrutinoside) をAcer macrophyllumおよびBegonia semperflorensの品種'F1アンブラ・スカーレット'と'F1アンブラ・ピンク'の銅赤色の春の新葉から単離精製し、その正確な構造をFAB-MSおよび^1H-^1H COSYとDIFNOEを含む^1H-NMR技術によって同定した.その上、このcyanidin 3-xylosylrutinosideのAcerでの分布を調査し、この色素はAcer macrophyllumの主要アントシアニンであることを明らかにした。
著者
小杉 清 横井 政人 五明 圓 植松 七生
出版者
千葉大学園芸学部
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
no.15, pp.1-6, 1967-12

宿根草の花芽分化に関する研究 I.ジャーマン・アイリスの花芽分化・発育についてジャーマン・アイリスの花芽分化期については従来二つの異なった発表があった.そこで, その原因を明らかにしようとして, 1964〜1966に2品種を用いて調査を行なった.結果は2品種とも8月下旬に花序分化が開始されたので, この時期を分化期と定めた.この時の平均気温は26℃, 平均草たけは67cmであった.この結果は妻鹿氏の結果(9月上旬)に近く, ドイツのKramer氏(6月中旬)とはやや離れた.この相異は分化標徴の認定によるか, 両国間の気候の相異によるか, データーおよび写真がないので明らかでない.なお近年2季咲ないし4季咲の品種が現われてきたので, これらの分化状況については, さらに後日の研究を要する。
著者
斎藤 規夫 本多 利雄 立澤 文見 星野 敦 阿部 幸穎 市村 美千代 横井 政人 土岐 健次郎 森田 裕将 飯田 滋
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:18823351)
巻号頁・発行日
vol.80, no.4, pp.452-460, 2011
被引用文献数
14

アサガオ(<i>Ipomoea nil</i> または,<i>Pharbitis nil</i>)の <i>speckled</i> 変異により淡黄色花を咲かせる 54Y 系統と <i>c-1</i> 変異により白花を持つ 78WW<i>c-1</i> 系統の F<sub>1</sub> 並びに F<sub>2</sub> 植物について,花弁に含まれるアントシアニンとその関連化合物を解析した.<i>speckled</i> 変異が優性の遺伝因子である <i>speckled-activator</i> と共存すると,花弁に吹掛絞が現れる.<i>Speckled</i> と <i>C-1</i> 遺伝子座は強く連鎖しており,78WW<i>c-1</i> 系統にのみ <i>speckled-activator</i> が存在する.このため,F<sub>1</sub> 植物は赤紫花を咲かせ,F<sub>2</sub> では赤紫花,白花,吹掛絞(淡黄色地に赤紫の斑点模様)の花,淡黄色花の植物が 8 : 4 : 3 : 1 の割合で分離する.解析の結果,F<sub>1</sub> と F<sub>2</sub> の赤紫花,さらに吹掛絞の斑点部分には同じアントシアニンが含まれていた.いずれもウェディングベルアントシアニン(WBA)が主要な色素であり,その前駆体など 9 種のアントシアニン(ペラルゴニジン誘導体)も蓄積していた.一方,54Y と淡黄色花の F<sub>2</sub>,さらに吹掛絞の淡黄の地色部分では,カルコノナリンゲニン 2'-グルコシドが主要なフラボノイドとして検出されたほか,少量のカフェ酸とオーロシジン 4-グルコシドやクロロゲン酸もみいだされた.また,78WW<i>c-1</i> と白花の F<sub>2</sub> には,クロロゲン酸とカフェ酸が存在した.これらの結果から,<i>speckled</i> 変異と <i>c-1</i> 変異を持つアサガオでは,それぞれカルコン異性化酵素(CHI)とカルコン合成酵素(CHS)が触媒する反応過程でアントシアニン色素生合成が遮断されていることが強く示唆された.また,吹掛絞の斑点部分では,完全に色素生合成系が活性化していると思われた.さらに,F<sub>2</sub> の赤紫花と吹掛絞の斑点部分に含まれるアントシアニン構成が個体毎に異なることから,これまで報告されていない未知の遺伝的背景が WBA の生合成を制御している可能性が高い.<br>
著者
横井 政人 穂坂 八郎
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.71-76, 1963-12-31

切花の品質・収量と栽植密度,定植時の苗の大きさとの関係をカラソコエを用いて実験し品質,収量の変動を種々の表現方法で解析,考察した.前報と同じく切花品質を単独切花品質と調和(総合)切花品質(市場品質も含む)とに分けた.本報では調和品質を表わすのに相対生長式(y=bx^α)を用いた.収量決定因子としては被度,土地利用度などをあげた.結果はカランコエの反応が敏感で明らかな傾向を示し低密度区ほど生長,開花(品質)はすぐれたが栽植本数(収量)の点でマイナスになつた.結局切花品質,収量,栽培管理,経済性,植物の生理,生態的性質などよりみて本実験においては定植時に大苗を用い栽植距離を15×15cmとするのが適当と考えられる.
著者
福田 信二 横井 政人 小杉 清
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.29-33, 1970-12-31

1.高温下で花芽分化し,低温に会って開花の促進される花木の中,移植運搬の困難なウメ(新冬至),モモ(矢口),サクラ(早生彼岸)について,高冷地における促成用花木栽培の可能性を知ろうとして,この実験を行なった.なお比較のためにツツジ(紅霧島)と,ユキヤナギ(蒲田早生)を加えた.2.高冷地は日光市小倉山(標高610m)を,比較地は鹿沼市栃窪(標高140m)を選んだ.3.実験は1968年6月〜1969年2月の間に行ない,両地区に栽植されている前記の花木から,7日ごとにそれぞれ10〜15個体の試料を採集して,70%アルコールに浸漬貯蔵後,剥皮法によって花芽の状態を検鏡した.4.高温下で花芽分化する花木の花芽分化期は,高冷地で遅れたが,花芽の発育はかえって急速に進み,標高の低い地方のものに追い着くか,あるいは追い越した.5.このことから,これらの花木の高冷地における促成栽培も可能であることがわかった.6.低温下で花芽の分化発育が促進されるユキヤナギについては,既に行なわれた実験結果のとおりであり,高冷地における促成用花木栽培の可能性が再確認された.
著者
斎藤 規夫 立澤 文見 星野 敦 阿部 幸穎 市村 美千代 横井 政人 土岐 健次郎 森田 裕将 飯田 滋 本多 利雄
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
Journal of the Japanese Society for Horticultural Science (ISSN:18823351)
巻号頁・発行日
vol.80, no.4, pp.452-460, 2011 (Released:2011-10-22)
参考文献数
33
被引用文献数
11 14 4

アサガオ(Ipomoea nil または,Pharbitis nil)の speckled 変異により淡黄色花を咲かせる 54Y 系統と c-1 変異により白花を持つ 78WWc-1 系統の F1 並びに F2 植物について,花弁に含まれるアントシアニンとその関連化合物を解析した.speckled 変異が優性の遺伝因子である speckled-activator と共存すると,花弁に吹掛絞が現れる.Speckled と C-1 遺伝子座は強く連鎖しており,78WWc-1 系統にのみ speckled-activator が存在する.このため,F1 植物は赤紫花を咲かせ,F2 では赤紫花,白花,吹掛絞(淡黄色地に赤紫の斑点模様)の花,淡黄色花の植物が 8 : 4 : 3 : 1 の割合で分離する.解析の結果,F1 と F2 の赤紫花,さらに吹掛絞の斑点部分には同じアントシアニンが含まれていた.いずれもウェディングベルアントシアニン(WBA)が主要な色素であり,その前駆体など 9 種のアントシアニン(ペラルゴニジン誘導体)も蓄積していた.一方,54Y と淡黄色花の F2,さらに吹掛絞の淡黄の地色部分では,カルコノナリンゲニン 2'-グルコシドが主要なフラボノイドとして検出されたほか,少量のカフェ酸とオーロシジン 4-グルコシドやクロロゲン酸もみいだされた.また,78WWc-1 と白花の F2 には,クロロゲン酸とカフェ酸が存在した.これらの結果から,speckled 変異と c-1 変異を持つアサガオでは,それぞれカルコン異性化酵素(CHI)とカルコン合成酵素(CHS)が触媒する反応過程でアントシアニン色素生合成が遮断されていることが強く示唆された.また,吹掛絞の斑点部分では,完全に色素生合成系が活性化していると思われた.さらに,F2 の赤紫花と吹掛絞の斑点部分に含まれるアントシアニン構成が個体毎に異なることから,これまで報告されていない未知の遺伝的背景が WBA の生合成を制御している可能性が高い.
著者
元木 泰雄 横井 政人 小杉 清
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.31-36, 1972-12-25

1.1才ザクロおよび1才サルスベリのさし木3年苗と,本年生の実生苗について,千葉大学園芸学部において,花芽の分化発育状況を調べた.2.1才ザクロのさし木苗では,1971年には4月19日肥大期,5月3日がく片形成期と進み,6月7日から第1回の開花が始まった.その後7月5日には,第2回の肥大期が認められ,8月9日には,はい珠形成期まで進み,ついで開花した.3.1才ザクロの実生苗では,6月7日肥大期,8月9日はい珠形成期と進み,8月30日に開花し始めたが,この場合には,1回しか花芽分化がみられなかった.4.1才サルスベリのさし木苗では,1971年には4月26日肥大期,5月3日がく片形成期,6月28日雄ずい形成期と進み,7月12日から開花し始めた.5.1才サルスベリの実生苗では,6月21日肥大期,6月28日はい珠形成期と進み,7月10日から開花し始めた.このように1才サルスベリでは,さし木苗も実生苗も,花芽分化は1回しか認められなかった.