著者
長谷川 健治
出版者
横浜国立大学
雑誌
横浜国立大学留学生センター紀要 (ISSN:13406493)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.97-111, 2004-03

1952年の血のメーデー事件は戦後日本共産党の最も大規模な武装闘争であり、講和発行のわずか3日後に起こったため日本国内、海外に強いインパクトを与えた事件であった。ここでは、共産党の武装闘争の主役を担った学生運動家などに焦点を当てながら・血のメーデーが如何に経験され・意味づけられたかを検証する。共産党の武装闘争方針下の学生運動は大衆的な盛り上がりを見せることがなかったが、血のメーデーにおいては通常不法デモに参加することがない「一般学生」の多くが参加し、共産党の闘士たちと共に血に染まった人民広場 (皇居前広場) に立った。彼ら、彼女らの多様な経験をさらに掘り起こしていくことによって、1950年代前半の大学及び社会全般の政治文化の一面を鮮明に描き出していくことができるだろう。

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