著者
長谷川 健治
出版者
横浜国立大学
雑誌
横浜国立大学留学生センター紀要 (ISSN:13406493)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.111-131, 2005-03

1947年以降、アメリカ占領軍はその「逆コース」によって、当初の目的であった日本社会の非武装化・民主化を徐々に放棄し反共的復興に方針を転換した。その中、学生主導の反米主義は力を増し、「教育復興闘争」のイデオロギー化、全学連の結成へと結びついていった。日本共産党は全学連の反米的「反帝闘争」に対して否定的な立場をとり、党本部と学生細胞は対立していった。1951年の4全協をきっかけに共産党はより過激な反米主義を軍事闘争というかたちで唱えるようになるわけだが、それに至るまでの全学連と共産党における反米主義について考察する。
著者
長谷川 健治
出版者
横浜国立大学
雑誌
横浜国立大学留学生センター紀要 (ISSN:13406493)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.97-111, 2004-03

1952年の血のメーデー事件は戦後日本共産党の最も大規模な武装闘争であり、講和発行のわずか3日後に起こったため日本国内、海外に強いインパクトを与えた事件であった。ここでは、共産党の武装闘争の主役を担った学生運動家などに焦点を当てながら・血のメーデーが如何に経験され・意味づけられたかを検証する。共産党の武装闘争方針下の学生運動は大衆的な盛り上がりを見せることがなかったが、血のメーデーにおいては通常不法デモに参加することがない「一般学生」の多くが参加し、共産党の闘士たちと共に血に染まった人民広場 (皇居前広場) に立った。彼ら、彼女らの多様な経験をさらに掘り起こしていくことによって、1950年代前半の大学及び社会全般の政治文化の一面を鮮明に描き出していくことができるだろう。
著者
長谷川 健治
出版者
横浜国立大学留学生センター
雑誌
横浜国立大学留学生センター教育研究論集 (ISSN:18810632)
巻号頁・発行日
no.16, pp.117-134, 2009

1956年の砂川基地拡張反対運動は、前年の6全協による共産党の武装闘争方針の放棄で50年代前半の共産党系の運動スタイルが破綻した後、この時代と縁を切った新しい大衆性をもった抗議運動の発端と見られることが多い。確かに、1956年の抗議運動は山村工作隊と火炎瓶闘争に象徴される朝鮮戦争期のそれとは大きく異なる面が多かった。しかし、1950年代前半の「古い」運動スタイルは単に過去に葬られたわけではなく、原水禁運動に象徴された「新しい」大衆的なスタイルは無条件に採用されたわけでもなかった。本稿は日本共産党と総評の「55年体制」がいかに全学連を砂川に導きいれたかに焦点をあてる。具体的に、日本共産党の6全協が学生活動家に与えた影響、当時反基地運動に活発に関わっていた清水幾太郎の役割、砂川における学生の抗議スタイル等を分析するころによって、1956年、砂川において、1950年代前半の「失われた5年間」がいかに再生・再構築されたかを辿っていく。
著者
長谷川 健治 秦 玲子 秦 玲子
出版者
横浜国立大学
雑誌
横浜国立大学留学生センター教育研究論集 (ISSN:13406493)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.191-216, 2007

This oral history focuses on the experiences of Togawa Yoshio as a student member of the JCP during its military interlude in Korean War period Japan. Although the effect of the Korean War as an economic boon has been well-emphasized, narratives of postwar Japanese history tend to treat activities by the JCP during this period as a minor footnote to the period. This is not surprising. Even specialized histories of those who conducted these activities-the JCP, zainichi Koreans, and the student movement-pass over this period as an unfortunate mistake. By introducing the experiences of Togawa Yoshio, this oral history seeks to contribute to the process of giving voice to this long-silenced history.
著者
長谷川 健治 秦 玲子 秦 玲子
出版者
横浜国立大学
雑誌
横浜国立大学留学生センター教育研究論集 (ISSN:13406493)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.93-129, 2008

This is the second half of the 2-part oral history focusing on the experiences of Togawa Yoshio as a student member of the JCP during its military interlude in Korean War period Japan. Although the effect of the Korean War as an economic boon has been well-emphasized, narratives of postwar Japanese history tend to treat activities by the JCP during this period as a minor footnote to the period. This is not surprising. Even specialized histories of those who conducted these activities - the JCP, zainichi Koreans, and the student movement - pass over this period as an unfortunate mistake. By introducing the experiences of Togawa Yoshio, this oral history seeks to contribute to the process of giving voice to this long-silenced history. An appendix to part 2 reproduces a short heretofore unpublished memoir written by Togawa Yoshio on the period leading up to his employment.