- 著者
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金 明秀
- 出版者
- 大阪大学人間科学部社会学・人間学・人類学研究室
- 雑誌
- 年報人間科学 (ISSN:02865149)
- 巻号頁・発行日
- no.16, pp.39-56, 1995
本研究は、在日朝鮮人を対象にしたものとしては、初の全国規模のサンプリング調査である「一九九三年在日韓国人青年意識調査」から、本人および父親の教育と職業をとりあげ、その基礎的な分布を紹介する。また、同種の日本人データと簡単な比較をおこない、エスニック・ストラティフィケーションの存在を検討する。結果によると、(1) 在日韓国人の教育達成は、単純集計レベルでは日本人との差異が見られない : (2) しかし上層出身と下層出身とで非一貫的な圧力が示唆される : (3) 親世代の職業構成は圧倒的な比率で自営業に追いやられているのにたいして : (4) 回答者本人の職業構成からは、明確な労働市場の障壁は確認されない。本調査が社会階層の究明を目的としたものではなかったこと、また、純粋に比較可能なデータが存在しなかったことなどのため、以上は今のところ原始的な発見にとどまっている。しかしながら、在日朝鮮人を対象とした実証研究に、はじめて社会階層という概念を導入したことにより、今後の研究の展望を示すとともに、より詳細な調査の必要性を提起できている。