- 著者
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神成 陽容
- 出版者
- 公益社団法人大気環境学会
- 雑誌
- 大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
- 巻号頁・発行日
- vol.41, no.4, pp.209-219, 2006-07-10
- 参考文献数
- 15
- 被引用文献数
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6
関東・関西地域における1990〜2002年度にかけての光化学オキシダント(Ox)濃度の週日から週末にかけての変化(週末効果)を調べた。その結果,Ox昼間平均濃度,日最高1時間濃度とも,長期間平均濃度における日曜日の週末上昇効果がほぼ全ての測定局で認められた。また,日曜日のOx濃度上昇量は,NOxの低減量と強い相関関係があり,HC-limitedの環境におけるNOxのO_3生成抑制効果が週末のNOx排出減少によって解除されることが原因であることが推定された。しかし,Ox濃度パーセンタイル点に沿って週末効果を調べたところ,低パーセンタイル点(オゾン生成ポテンシャルの低い日)ではほとんど全ての地点でOxの"週末上昇効果"がみられるものの,高パーセンタイル点に移るにつれて(オゾン生成ポテンシャルが高くなるに従って),多くの地点で"週末低減効果"に反転する現象が見いだされた(時間的な週末効果反転現象)。類似した週末効果の反転現象が空間的にも体系的に生じており,比較的高い特定のパーセンタイル点で観察した場合,発生源地域では"週末上昇効果"がみられるが,発生源地域から離れるに従って"週末低減効果" に反転する現象がみられた(空間的な週末効果反転現象)。これらの2種類のOx濃度週末効果反転現象がきわめて組織だって生じていることから,その原因としてオゾン生成レジームの時間・空間的変化があるものと推測された。