著者
神部 晴子
出版者
文化女子大学
雑誌
文化女子大学紀要 服装学・生活造形学研究 (ISSN:0919780X)
巻号頁・発行日
no.31, pp.51-64, 2000

1910年代、イタリア未来派画家ジャコモ・バッラ(Giacomo Balla) は、当時のメンズスーツに革新的なアイデアを持ち込み、19世紀初頭から続いていたメンズスーツの固定化したスタイルの改革を試みた。同時代のヨーロッパは20世紀初頭にイタリアで誕生した未来主義があらゆる分野に姿を見せ始めた時期でもある。未来主義者はイタリアの伝統に過度の重みを感じ、その歴史的遺産を破壊しようとしていた。次々と宣言を発表し、その全てが破壊しなければならないものに向けられた。そのひとつに1914年5月「LE VETEMENT MASCULIN FUTURISTE Manifeste(未来派男性衣装宣言)」と同年9月「IL VESTITO ANTINEUTRALE Manifesto futurista (未来派反中立衣装宣言)」がある。それは暗い色、対称的なシルエット、糊のきいたカラーやカフスといった伝統的なメンズスーツを廃止し、軽快で、衛生的、そしてダイナミックな色やデザインといった未来派的な新しい衣装を提案したものであった。成功するには至らなかったものの、今でも内容的に高い関心を持たれている。本論文では、バッラが創作した未来派スーツと各衣装宣言に書かれた内容と意味主張について未来派との関連において調べてみた。

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「未来派男性衣装宣言」の中に、"10、非耐久性。身体の活気を取り戻し、そして繊維専業を優遇できる"とあるのが笑える。 20世紀メンズファッションの革新--未来派画家ジャコモ・バッラとメンズスーツ 神部晴子 https://t.co/Aa4WIL6yYT https://t.co/O6lBNi0tTe

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