著者
平塚 志保
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.167-174, 2003-09-18

アメリカ合衆国で提訴されたKatskee v. Blue Cross/Blue Shield of Nebraskaでは、乳癌-卵巣癌症候群と診断された原告の予防的臓器切除手術を保険がカバーするか否かをめぐり、疾病と病気の概念が争点とされた。ネブラスカ最高裁判所は、原告の状態は病気に該当し、未だ発病していない状態に対する予防的臓器切除手術を治療と認定した。本稿では、遺伝学的知見の増大は、反規範主義、規範主義のいずれの見解をとるにせよ、従来の疾病概念を拡張する可能性、もしくは疾病概念に否定的価値を付与する可能性があることを述べる。さらに、遺伝的状態に対する医学的介入について発症前、易罹患性および遺伝子多型に分類する試論を提示し、疾病や病気とみなされる限りにおいては治療の一形態として位置づけられることを結論する。

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